世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第18回は、芹澤和美さんがボルネオで参加したワイルドこの上ないジャングルツアーについて。

ハンモックに揺られて熱帯雨林に眠る

 ボルネオ島は世界で3番目に大きな島で、マレーシア領(サバ州・サラワク州)、インドネシア領、ブルネイ王国からなる。ボルネオ島の玄関口でもあるサバ州都コタキナバルは、日本人にも知られた観光地だ。訪れたのは、コタキナバルから国内線を乗り継ぎ、車で2時間ほどのバトゥプティという小さな村から、さらにキナバタンガン川沿いにボートで数km下った熱帯雨林。

左:キナバタンガン川の移動は基本的にボート
右:熱帯雨林に向かう途中、市場に立ち寄り食料品を購入

 キナバタンガン川は野生の宝庫で、川辺に点在するロッジに宿泊し、ボートでリバークルーズをしながらオランウータンや象などを探す旅が、ネイチャー好きに人気を集めている。だが、このときの私たちの宿は、ロッジでもテントでもなかった。ハンモックだ。各自、適当な木を見つけてハンモックをロープでくくりつけ、虫よけの蚊帳をセットし、その上にタープ(雨除けの屋根)を張って寝床を作る。到着直後は、あまりの森の深さに唖然としたが、自分でハンモックを設営し、中に横たわってみると、これが意外と快適。野鳥の鳴き声と、小動物が木々の間や葉の上を移動するときのガサゴソという音しか聞こえない、気持ちのいいプライベート空間だった。

蚊帳と屋根も張って、意外と快適なハンモック

 同行したメンバーは、現地ガイド2名を含め7名。野営にしては大所帯だが、ここには設備が一切ないので、すべて自分たちで持ち込み、設営しなければならない。一カ所にカセットコンロとウォーターサーバーを置いて簡易キッチンに、大きめのビニールシートの下に簡素なテーブルと折りたたみ椅子を置いたスペースは、ダイニング代わりだ。動物たちの動きが活発になる朝夕はリバークルーズ、日中は深い森の中を歩いて野生動物を探し、日没後はランタンの灯の下で夕食を食べ、夜はハンモックで眠る3日間を過ごした。

左:この森の中が野営地となる
右:ガスとカセットコンロ、鍋、水を持ち込んで自炊

<次のページ> シャワー代わりに川で沐浴、トイレは大地に穴を掘って……

2014.01.28(火)
text & photographs:Kazumi Serizawa