Column：佐々木俊尚のニュース解体新書

仮想通貨、ビットコインで
ネットショッピングも支払い可能!?

LIFESTYLE

2014.1.24

「CREA」誌面で毎月掲載されてきた佐々木俊尚さんの人気連載「ニュース解体新書」が、WEBオリジナルコラムとして隔週でお届けできることになりました。CREA世代が知っておくべき最新の社会問題・キーワードを分かりやすく解説します！

【KEY WORD：ビットコイン】

ビットコインというインターネット上の「通貨」が注目を集めています。これはどこかの国の政府が発行している通貨ではありません。どちらかといえば、お店でお買い物をするともらえるポイントに近いといえるかもしれない。ただポイントと違うのは、いまやこのビットコインが世界各地で使えるようになっていて、ビットコインをふつうのドルなどの現金にして出金できるATM(現金自動引き出し機)さえ、カナダや香港で登場してきているのです。

ビットコインだけで生活できるようになるかも？

ビットコインは、サトシ・ナカモトという日本人名を名乗る謎の人物が発明しました。ネット上に暗号化されたシステムがあって、そのシステムに特定のソフトウェアを使ってアクセスすると、金銀を採掘するのと同じように、少しずつビットコインのデータを取り出せるようになっています。大量には取り出せず、一定の日時の間に少しずつしか取り出せないというのがミソで、これが希少価値をうみだす要因になっているんですね。まだ話題にならない初期のころはソフトを使えば個人でもたくさん取り出せたようですが、いまは世界中の多くの人が採掘しようとしているので、ひとりあたりの取り出せる量は少なくなってしまっています。これによって金銀と同じように、ビットコインの価値が維持されるからくりになっているわけです。

ただ普通の通貨と違って、流通量をコントロールする日銀のような中央銀行がありません。だから価値は乱高下します。バブルのように急騰したり、急騰しすぎてこんどは暴落したりというくり返しで、ビットコインに投資するのはかなりリスクの高い賭けになってしまっています。

ただ、今後もビットコインが流通し、それが世界中で使えるようになって、しかもそれぞれの国にビットコインを現地通貨に換金してくれるサービスがあれば、ビットコインだけで生活できるようになってしまうかもしれません。アマゾンや楽天の買い物をビットコインで支払うこともできるようになるかも、ということです。

そしてビットコインは各国政府のコントロールを受けませんから、ネットの中で政府から独立した通貨システムができあがってしまうということにもなります。遠い将来には、ドルのような基軸通貨になってしまうことだってありかも。インターネットによってさまざまな分野でのグローバル化が進んでいますが、こういうところも今後はグローバルになっていく可能性があるということです。