2014年の元旦はちょうど新月! 
旧暦では元旦は必ず新月でした……

月の暦をダイアリーにした著書、『MOON BOOK 2014』(アスペクト刊)はファンに愛されて11年目! 愛用している「歳時記カレンダー」(シーガル発行)には、月の満ち欠けのほか、四季の変化を告げる二十四節気・七十二候についての情報が満載です

 冬は空気が済んで星や月がよく見える季節です。新しい年が始まりました。2014年1月1日は、なんと! 新月です。その昔、日本でも使用されていた旧暦(=月の運行を基にした暦)では、新月を1日と定めていました。新暦(=太陽暦)では、1日が必ずしも新月とは限りません。2014年の始まりは、新暦と旧暦の周期が巡り巡って一致する珍しい年といえるでしょう。ところで日本では、いつから旧暦が廃止され、太陽暦が始まったのでしょうか。今回はその顛末についてのお話です。

 そもそも「暦」とは、太陽と月の行き来を読むことを意味しています。太陽の運行や月の満ち欠け、惑星の動きなどの観測は、BC3000年頃から、メソポタミア(現在のイラク付近)で始まりました。月の満ち欠けを基に月暦を作り上げたのは、この地のシュメール人たち。シュメール文化は、後のバビロニア人(BC2000年頃)に受け継がれました。彼らはギリシャ・ローマ人たちによりカルデア人と呼ばれ、天文学や占星術、暦に精通する人々として歴史に名を残しています。

 ちょっと面白いエピソードをひとつ。「カレンダー(calendar)」の語源は、「カルデア(chaldaea)」だと言われていて、月を観測するカルデア(バビロニア)の神官たちは、毎夜、月の出と共に「月が出たぞ!」と大声で叫んだそうです。そこから「カレンダエ(calendae)」という言葉が生まれ、その後に「カレンダー(calendar)」へと変化していったというのです(出典『暦と占いの科学』永田久 新潮社刊)。

 現行の太陽暦として世界中で使用されているグレオリオ暦が誕生したのは、1582年。太陽暦の1年365日は、地球が太陽の周囲を一巡する日数を表しています。それまでは世界のいたるところで太陰暦(=月の暦)が使われていたことになります。では日本ではいつからこの新暦(=太陽暦)を使うことになったのでしょうか。

<次のページ> 三日月なのに1日!? と困惑した明治時代の人々

2014.01.01(水)