ネルソン・マンデラの勇気とインスピレーションとともに

 アパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃されたのは1991年。全人種が参加する南アフリカ初の民主的な選挙が行われ、この国が民主主義国家として歩き始めたのは、1994年のこと。今年で民主化20年を迎えたこの国には、歴史を振り返る施設が多くある。

 それら施設の多くが観光スポットにもなっているが、観る前に基礎知識として知っておきたいのが、アパルトヘイト撤廃にいたるまでの歴史。そしてそれを語る上で欠かせないのが、偉大なる人道活動家、ネルソン・マンデラ氏だ。2013年12月に95年の生涯を閉じた今も、彼のスピリッツは、南アフリカの人々の心に宿り続けている。

 マンデラ氏が生まれたのは、東ケープ州のムベゾという農村。25歳のとき、当時は反アパルトヘイトの中心的組織であったアフリカ民族会議(ANC)に参加し、34歳で南アフリカで初の黒人による法律事務所を設立した。

 ヨハネルブルグの郊外にあるリリーズリーフ農場は、一見するとのどかな田舎の農場だが、ここはマンデラ氏らが労働者を装いながら、反アパルトヘイト運動の活動拠点とした場所だ。彼は1961年10月から約3か月、反アパルトヘイを掲げる指導者たちとともにここで過ごし、秘密裏に政府転覆計画を練ったのだ。1962年には活動資金集めのため国外に出るが、帰国後すぐ、無断に国外に出たとして逮捕され、懲役5年の刑を受ける。

反アパルトヘイト運動の拠点となったリリーズリーフ農場は、今は博物館

 63年7月、この隠れ家が警察に発覚してしまう。家宅捜索を受け、石炭貯蔵庫に隠したメモも見つけ出され、その内容から、服役中のマンデラ氏は国家反逆罪で終身刑に。その後27年間にもおよぶ獄中生活を強いられることになる(マンデラ氏は農場を去るとき、すべてのメモを焼却するよう同志たちに命じたが、残された彼らは、歴史的価値があると判断し、敷地内の石炭貯蔵庫にメモを隠していた)。このとき、彼は46歳。このリリーズリーフ農場は現在、博物館として公開されている。

館内では詳しく活動が紹介されている。デジタルを駆使した展示に引きこまれる
一見すると質素な農家。マンデラ氏が暮らしていた部屋の中ではドキュメンタリーのDVDを見ることができる

Liliesleaf
所在地 07 George Avenue, Rivonia, 2128, Johannesburg
電話番号 +27-11-803-7882
URL http://www.liliesleaf.co.za/

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2014.01.04(土)