ケープタウンからワインランドへ、ワイン三昧のショートトリップ

 ワインランドの中でも人気を集めているのが、ステレンボッシュ、パール、フランシュフックの3つの街。最も多くのワイナリーが集まるのが、ステレンボッシュ(ケープタウンから車で30分)だ。その数は300軒を超え、ここで生産されるワインのクオリティーは、南アフリカでトップレベルともいわれている。南アフリカを代表する名門、ステレンボッシュ大学があることでも知られ、街は学園都市らしい落ち着いた雰囲気。並木道に沿って洒落たカフェやギャラリーを訪ねながら、ゆったりと過ごすのもいい。

ケープ・ダッチ様式の古い建物を利用したワイナリーは雰囲気もいい(写真提供/南アフリカ観光局)

 パール(ケープタウンから車で約45分)は、多くのワインを輸出する南アフリカ最大手ワイナリー、「KWV」の拠点があることで有名。1918年建造の本社ビルはこの街のランドマークでもあり、巨大な樽が並ぶ貯蔵庫を擁するワイナリーもある。大規模のワイナリーが多く、25軒ほどで見学が可能。街には歴史ある建築が多く残され、メイン通りでは、ビクトリア、ケープ・ダッチ、アールデコなど様々な様式の建物を見ることができる。

岩山が真珠のように見えたことから、この街にはパールという名がついたという(写真提供/南アフリカ観光局)

 フランシュフック(ケープタウンから車で約1時間)は、18世紀にフランスの宗教的迫害から逃れてきた人たちが開拓し、フランス式のワイン造りを伝えた場所。現在も、街には白を基調にした瀟洒な建物が並び、フランスの香りを漂わせている。見学可能なワイナリーは約25軒と規模は小さいものの、ここは知る人ぞ知る南アフリカ随一のグルメタウン。シェフが作る料理もフランス料理のエッセンスを取り入れたものが多く、ワインとの相性もぴったり。フレンチをはじめ一流のレストランが軒を連ね、食事を目当てに遠方からはるばる訪れる人も多いという。ギャラリーやアンティークショップめぐり、自家製のチーズやジャムを買い求めるのも楽しみだ。

フランス人が開拓し、美食の伝統を受け継ぐフランシュフック(写真提供/南アフリカ観光局)

 1泊2日もあれば、数軒のワイナリーを巡ることができるワインランド。より気軽に楽しむのなら、ケープタウンから車で20分ほどの老舗ワイナリーへ。1685年創業の「クレイン・コンスタニア・エステート」は、日曜を除く毎日、ワイナリー見学や試飲を行っている(夏季は日曜もオープン)。ワインに詳しくなくても、自然豊かな環境の中で、多種多様なぶどう品種の違いを楽しむのは贅沢な時間。南アフリカだからこそ生まれた、豊かな味わいを楽しみたい。

ワイナリー見学、スタッフの詳しい説明を聞きながらのテイスティング。日本では手に入らないワインも安価で購入できる

Klein Constantia Estate
所在地 Klein Constantia Road, Cape Town
電話番号 +27-21-794-5188
URL http://www.kleinconstantia.com/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn/

Column

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2014.01.01(水)