風光明媚なリゾート地、ケープタウンとケープ半島

 南アフリカ発祥の地として“マザー・シティ”とも呼ばれるケープタウンは、世界の観光地の人気ランキングの中でも、常に上位に数えられる街だ。近代的な都市としての機能を持ちながら、地中海性気候のため、温暖な冬と爽やかな夏を過ごすことができる。とくにヨーロッパの人々に古くから愛されるリゾート地でもある。

左:石造りの市庁舎の前のマーケットでは、カラフルな洋服が売られていた
右:近代的な都市と自然が調和した美しい街

 街の中心は、かつての港を再開発した大規模なショッピングコンプレックス、「V&Aウォーターフロント」。背後にテーブルマウンテンを従え、眼下にハーバーが広がるロケーションに、ショッピングモールやレストラン、ホテル、映画館や水族館などが集結している。ここは、観光客だけではなく、ローカルにも人気のエリア。テーブルマウンテンを染める夕陽を眺めながらディナーを食べたり、海上に星を仰ぎながら地ビールを飲んだり、ドメスティックブランドのファッションを探したり。ここでは素顔の南アフリカを楽しみたい。

テーブルマウンテンを望むウォーターフロント。地ビールや特産ワインが飲めるダイニングが多数

 このウォーターフロントから一望するテーブルマウンテンは、ケープタウンのシンボル。世界中からの投票で決められた「自然界の新・世界七不思議」にも選ばれている(ほかの七不思議は、イグアスの滝やアマゾン川など)。テーブルマウンテンという名前は、頂上が平らでテーブルのような形をしていることから付けられたもの。その形状だけでなく植物系も独特で、ハイキングコースとしても人気だ。360度回転しながら昇るケーブルカーで、景色を楽しみながら1086mの頂上まで簡単に登ることもできる。

左:テーブルマウンテンの頂上から、湾岸都市ケープタウンを一望する
右:荒々しい岩場が続くテーブルマウンテン。季節によって花が咲き乱れる

 ケープタウンまで来たのなら、さらに足を延ばしてケープ半島も訪れておきたい。めざすは、アフリカ大陸の最南西端にある喜望峰。岬の名は、ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見した際に名づけられたと言われている。南アフリカを訪れる旅行者の多くが、最終目的地としてここを訪れるという。

ケープタウンから喜望峰までは約70km。直行すれば車で約1時間30分で到着(写真提供/南アフリカ観光局)

 ケープタウンから喜望峰に向かうルートにあるボルダーズビーチは、南部アフリカにしか棲息していない野生のアフリカペンギンを間近で見られる、世界でも希少なビーチのひとつ。ちょこちょこと歩くペンギンたちの可愛らしいこと! 場所によっては、ペンギンと一緒に泳ぐこともできるという。

目の前で野生のアフリカペンギンを見られるボルダーズビーチ(写真提供/南アフリカ観光局)

 風光明媚な海岸をドライブし、ペンギンたちとひとしきり戯れた後、ふたたびケープタウンへ戻る。この後は、サンセットクルーズを楽しもうか、地元のワインバーへ繰り出そうか。この街での楽しみは、尽きることがない。

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn/

Column

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2013.12.30(月)