ウィーンといえば、13世紀後半から1918年まで、じつに600年以上にわたって栄華を極めたハプスブルク家のお膝元。現在でも街には、住居として使われていた王宮や、夏の離宮であったシェーンブルン宮殿などがその姿を残しています。せっかくウィーンに来たのだから、その豪華絢爛な暮らしを感じてみたいですよね。というわけで第3回は、ハプスブルク家御用達の名店へ潜入。足を運ぶだけでも優雅な気分になれるスポットをご案内します。

世界中の女子の憧れ! デメル本店で極上スイーツを

佇いまで上品なデメルのケーキ。店内の喫茶コーナーでイートインも可能です

 ハプスブルク家において、女帝マリア・テレジアと並んで有名なのが、フランツ・ヨーゼフ1世の妻エリザベート。身長172cmの長身にウェスト50cmという驚異のスレンダーボディとヨーロッパ宮廷一といわれたその美貌から、絶世の美女皇妃と称えられたそうです。その美貌を保つため、彼女は日々過酷なダイエットを自らに課していたと伝えられているのですが、そんなダイエット狂のエリザベートが愛してやまなかったのがデメルのスイーツ。毎日のように使いを出してデメルのケーキを届けさせたなんていう話も残っているほどです。

創業200年を越えるデメル本店。1階はカウンター席、2階にはテーブル席があり、スイーツや喫茶のほか軽食も充実しています

 そんな逸話を聞いてから訪れたデメル本店。まずその佇いの優雅さに度胆を抜かれてしまいます。気品ある調度品がしつらえられた店内。時代を感じさせるショーケースの中には、宝石と見まがうほどの美しいケーキの数々が並びます。店内に設置された厨房はガラス張りになっていて、職人たちがケーキを作る様子を見ることができます。1階のカウンター席もいい雰囲気ですが、おすすめは2階のテーブル席。アンティーク調の家具に囲まれた優雅な空間でいただくザッハトルテは、格別ですよ。

エリザベートが愛したというスミレの砂糖漬け。1階のショップで販売されています。女子へのお土産にしたら喜ばれそう

 店内で優雅なティータイムを過ごしたら、すかさず1階のショップへ。日本でも大人気のチョコレートのほか、オリジナルのジャムやクッキーなども販売されています。驚くべきは、日本へも持ち帰れるお土産用のザッハトルテ(ホールで!)があること。しっかりとした木箱に入っているので、型崩れの心配もなし。大きなリボンがかかった素敵すぎる佇いは、まさにウィーン土産の女王様! ぜひチェックしてみてください。

デメル
所在地 Kohlmarkt 14 A-1010 Vienna
電話番号 +43-1-535-1717
URL www.demel.at
営業時間 9:00~19:00
定休日 無休

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2013.12.15(日)
小林百合子=取材・文
田部井朋見=写真