越中とやまの食ロードを巡る旅

越中とやまの食ロードを巡る旅

天然の生け簀富山湾から
届く極上のネタを堪能

越中とやまの「食」を巡る

 寒くなると、富山はおいしくなる。寒ブリ、ズワイガニ、かぶら寿し。でも、今はまだ秋。冬の到来を待ちきれなくなった女性二人組は東京を発って、ひと足早く富山へと向かった。そこで出会った富山ならではの「自然の恵み」と「大地の実り」。越中とやまの食ロードを辿る旅が始まる。

» 2015年春、北陸新幹線開業富山を味わう、富山に酔う
» [〆(しめる)] 昆布で〆る。北前船が運んできた「食」文化
» [獲(とる)] 氷見の寒ブリがおいしい理由は定置網漁法にあり
» [栽(うえる)] 庄川が育む大地の実りが砺波平野を彩る
» [和(あえる)] 砺波のソウルフード。ご飯がすすむ「よごし」の素朴さ
» [漬(つける)]南砺で見直した麹のチカラ。伝統の発酵食で身体をリセット
» まだまだあります。とやまの「食」

今回のテーマは「握(にぎる)」

<鮨 難波>富山湾の旬のネタ。〈左上から〉アカイカ、トロ、ヒラメ昆布〆、コハダ、〈左下から〉シロガイ、クエ、アマエビ、フクラギ、香箱ガニ、シロエビ

 富山に着いたら、まず何を食べようか。ふたりが出した結論は「お寿司」。それも富山湾の旬のネタがいい。さっそく友人に紹介されたお寿司屋さんに向かった。

「鮨 難波」のご主人・難波薫さんは岡山の出身。富山に来てもう28年だという。「富山では魚に季節感があるんです。瀬戸内は温暖なだけあって、アジなんて一年中獲れますからね。4月1日ホタルイカ解禁だとか聞くと、季節を感じますよ」。富山湾のおいしいものを握ってもらいながら、話がはずむ。「獲れたての魚というのは、そのままでは寿司ネタにむかないんです。熟成させるために1、2日寝かします。普通の魚はくたっとなるんですが、富山の魚はそうならない。やっぱりものが違いますね」。

クエの昆布〆を作る難波のご主人。白身本来の味を残すため、挟む時間は短め。あまり上等な昆布を使うと、魚の水気を吸い過ぎてしまうという

 富山湾には暖流系と冷水系の両方の魚が生息しているそうだ。表層部分には温かい「対馬暖流」が流れており、ブリやマグロといった暖流系の魚が回遊する。さらにその下、水深300メートル以下の海底には、水温が2度以下の「日本海固有水(海洋深層水)」があり、ベニズワイガニやゲンゲといった冷水系の魚介類が生息している。そのため水揚げされる魚介類は、なんと200種類にも上るというから驚きだ。それも港から漁場が近いので、新鮮なまま市場に並ぶ。富山湾は、まさに“天然の生け簀”なのだ。

 おいしいお寿司には、やっぱりおいしいお酒が欲しくなる。おすすめの冷酒をお願いすると、出てきたのは繊細なガラスの酒器。岡山出身のご主人がこだわる備前焼のお皿と見事にマッチしている。「これは富山在住のガラス作家・野口知恵子さんの作品なんですよ。いいでしょう」とご主人。富山市といえばガラス。前回の富山旅行でも富山ガラス工房を見学させてもらった。野口さんも工房出身の作家だそうだ。富山市では、毎年市内の飲食店と組んで、「ガラスの街とやま」のPRを展開している。富山ガラスを身近に感じてもらうために、作家の作品を無償で提供、お店で使ってもらおうというのだ。2013年はお寿司がテーマ。市内11店舗のお寿司屋さんが参加している。吟醸酒「満寿泉」は、ガラスの酒器にふさわしい清々しい味わいだった。

鮨 難波
所在地 富山市公文名34-12
電話番号 076-493-8686

<この記事の掲載号>

CREA Traveller 2014年冬号

特集 泣かせるプラハ
Unforgettable Praha

定価980円(税込)

2013.12.10(火)

志水 隆=写真
編集部=文
関 幸子=プロデュース
富山県・富山市・氷見市・高岡市・砺波市・南砺市=協力

※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

CREA Traveller 2014年冬号

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