7つの海を制したヴィクトリア女王とのご対面

 美しいディー川が流れる風光明媚な土地、アバディーンシャーには、今も英国王室の避暑地として使用されているバルモラル城がある。このバルモラル城から一番近いバラターの町では、王室御用達を意味する“By Royal Appointment”の看板を上げる店も多い。

 バラターとアバディーンを結ぶ鉄道が廃線となったのは1967年のこと。この路線には、かつて王室列車も走っていた。かわいい駅舎は今も保存されており、展示室も設けられているという。

 中に入ると、英国王室の紋章が付いた列車が止まっている。正装のキルトでお出迎えを受け、レッドカーペットに降り立つのは、7つの海を制したヴィクトリア女王。そしてそのご威光いっぱいのお姿の横で、犬を引っ張るご婦人がまたリアル。さすが蝋人形で有名なマダム・タッソーの国、英国と感心してしまう。

女王をお出迎えするには、スコットランドの正装タータンのキルトで
ワンちゃんの方は、女王陛下には興味がない様子
こちらがロイヤルファミリー専用の待合室

 また駅舎の王室待合室で寛ぐ女王もいらっしゃって、当時の様子が窺えてとても興味深い。バルモラル城に夫であるアルバート公と共にご滞在になったヴィクトリア女王だが、この王室列車のお姿は喪服姿である。最愛のアルバート公が亡くなられてから、ヴィクトリア女王は10年以上にわたって喪に服されていたという。緑深いバルモラル城、そしてチャーミングなバラターの町はヴィクトリア女王にとっても美しい思い出であったに違いない。

 バルモラル城は、通常4月から7月には敷地、庭園、展示館が一般に公開され、我々、庶民も王室の暮らしを少し垣間見ることができる。

広大な敷地に、緑に囲まれて立つバルモラル城

英国政府観光庁
URL www.visitbritain.com/ja/JP

スコットランド観光局
URL www.visitscotland.com

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter twitter.com/ono_travel

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大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!

2013.11.26(火)
text & photographs:Michiko Ono Amsden