美食のカメラマンが教える「香港必食グルメ ベスト10」

美食のカメラマンが教える「香港必食グルメ ベスト10」

香りと味がクセになる老舗の味
第6位 豚の肺入り杏仁スープ

 香港に通い詰めるようになって四半世紀以上。レストランのプロデュースも手がける美食家のカメラマン菊地和男さんは香港で何を食べているのか? 今回は菊地さんの定番料理と言えるメニューのベスト10を挙げてもらった。庶民の味から高級料理まで、ありきたりのガイドブックとは違う、奥深い香港の食の世界にご案内します。

杏仁白肺湯(陸羽茶室)

 もしかすると広東料理のレシピは、星の数ほどあるのかもしれない。

 だが、どの広東料理店でも、概ね定番と思えるメニューはどこでも類似しており、その他のメニューに何をリストアップしているか、シェフのオリジナリティがどう現れているか等によって、それぞれの店らしさを感じることができるのだ。

 連綿と受け継がれ、今に伝えられている料理でも、時代に合わせ若干の変化を遂げてきたものもある。世代が変われば、好まれる味も変わる。時代の流れで消えていったメニューもまた多い。

 そんな中で、創業時から変わらぬ味で勝負する老舗も存在する。数泊の香港滞在の間、毎日の夕食に変化をつけるなら、1回はそんな老舗が私のチョイスにあがる。なぜならば、他ではめったにお目にかかることができない古典的広東料理を楽しむことができるからだ。

 中でも「豚の肺入り杏仁スープ」は秀逸である。杏仁といえば、杏仁豆腐でおなじみだが、供されればあの甘い香りがテーブルいっぱいに漂う。しかし、口にすれば塩味のスープ。そのギャップが妙にクセになる。まろやかな杏仁もフワフワな豚の肺も共に“肺を潤す”働きがある食材。だから風が涼しくなる秋口になると、かつてはよく飲まれていたようだ。

 まさに中国料理は医食同源であることを思わせる1品。しかしながら、薬膳などと大げさにさわぐことなく、時代の流れもなんのその。今も変わらずグランドメニューの中に鎮座ましましているのだ。

 感服!

陸羽茶室
所在地 香港中環士丹利街24-26號

菊地和男
1950年東京生まれ。日本広告写真家協会会員。世界各国の食と文化をテーマに撮影・執筆を行うほかレストランのプロデュースにも関わる。1969年以来、香港には度々渡航。著書に『 香港うまっ!食大全』(新潮社)、『中国茶入門』(講談社)、『茶人と巡る台湾の旅』(河出書房新社)、『ダライ・ラマの般若心経』(共著/ジェネオン エンタテインメント)など多数。

2013.11.15(金)

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