一口に「働く母」と言っても、その生活スタイルは十人十色。みんなが自分なりの方法で、忙しい日々をやりくりしている。彼女たちの24時間には、たくさんの知恵と工夫が詰まっていた――。

 今回は職住近接で、ニューヨークでの育児&仕事を両立させる環境を紹介。

» 第1回 母親が働きやすいシンガポールの環境

総合商社勤務
村上清華さん(33)
香音ちゃん(4)

大学卒業後、商社に総合職として入社し、人事部に在籍。29歳で出産。中国へ4カ月の長期出張の経験もあるが、本格的な海外赴任は今回が初めてで、2年間の予定。香音ちゃんは保育園で最初「ナーサリー」、9月からは「PreK」(Pre-Kindergarten)と呼ばれる学年に。

念願だった海外勤務は、“子連れ赴任”第1号として

 今年5月、東京からニューヨークに転勤。香音ちゃんはちょうど4歳になる月だった。入社以来ずっと海外勤務を希望していたので、まったく躊躇はなかったという。

 仕事最優先で自宅と保育園の場所を選び、どちらも職場から徒歩10分圏内。マンハッタンの中心地だ。

「子連れで海外赴任する女性社員第1号なので、私が転んだら子どもをもつ後輩が派遣されなくなってしまう。失敗はできませんでした」

 毎日、朝7時過ぎから実質11時間勤務だが、家事はすべて自分でこなす。一方で、仕事が終わった後、ベビーシッターを頼んで自由な時間を得る日もある。

「子連れ単身赴任も周囲からは心配されましたが、自分に限界を設けないようにしています。やってみれば、新しい道が拓かれて、人生がラクになったり、楽しくなったり。子どもがいるという理由で、仕事や自分のやりたいことを諦めないでほしいと思います」

【Language】 保育園で英語、家では日本語
香音ちゃんは日本では英語の勉強はしていない。保育園で自然に慣れて、理解できるようになり、「最近では、英語っぽい発音で単語を並べています」。家でも、日本語だけでなく英語の本の読み聞かせも始めた。

マンハッタン中心地の保育園
設備や管理のよさで厳選した保育園はマンハッタンのオフィス街のビルにあり、園児の母親の職業は医師などが多い。未就学の子どもを抱えて働く日本人母はニューヨークにはなかなかいないこともあり、保育園で日本人は香音ちゃん1人だ。

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2013.10.30(水)
伊佐山桂子=写真

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