上沖沙恵さん
お子さん:唯君(4歳10カ月)、瑛未ちゃん(2歳5カ月)

株式会社アイエスエフネット 人事本部 ダイバーシティ部 所属 www.isfnet.co.jp

2004年就職。2008年に結婚・妊娠、1度目の育児休業を取得。2010年4月に復帰後、社長戦略室にて広報などを担当。2011年に2度目の育児休業を取得。2012年4月に復帰後、ダイバーシティ部に所属。

 上沖さんが勤める株式会社アイエスエフネットは、ネットワークエンジニアの派遣をメインとする会社だが、障がい者など社会的弱者と呼ばれる就労困難な人に対し、雇用の場を創造していくことに全社的に取り組んでいる。2012年にはユニバーサル就労に関する「20大雇用」(アイエスエフネットグループ 20大雇用宣言)の取り組みなどが評価され、「ワーク・ライフ・バランス大賞」にて大賞を受賞した。2013年には赤坂の本社近くに託児所(ゆめみん青山保育園)付きの多目的シェアオフィス(匠ソホラ)をオープン。育児休業者の職場復帰の後押しや近隣の子育て世代への支援も考慮している。

 上沖さんが入社したのは2004年。ネットワークに興味があり、関連した企業に就職をしたいと考えていたが、ネットワークエンジニアとしての経験はなかった。それでもアイエスエフネットは、経歴や知識ではなく人間性を重視して上沖さんを採用してくれた。経験を身につけさせ育ててくれる会社の姿勢は、その後も変わらない。そんな会社で上沖さんはフルタイムで働き、スキルを磨いてきた。

 子育てと仕事の両立にも理解のある職場であり、育休復帰後はフルタイムに戻る予定だったが、現実は厳しかった。

 復帰後、長男が喘息や食物アレルギーで保育園を休みがちとなったため、フルタイムは無理と判断、「ショート正社員」という制度を利用することに。「ショート正社員」は、「時短」とは対象や条件が違うこの社独自の制度で、正社員と同様の待遇で勤務時間や日数の短縮ができるというものだ。長く働いていく上で、柔軟に働き方を考えることはとても大切なことだと身をもって感じた上沖さんは、今後もショート正社員ほか、様々な働き方を提案したいと考えている。

 当初技術部にいた上沖さんが現在所属するのはダイバーシティ部。さまざまな部署から上がってきた問題点を精査し改善につなげたり、他社の良い取り組みを参考に、ハンディキャップがあっても働きやすい環境を作っていく。現在ダイバーシティ部は全員が女性で、派遣も含めて7名。ゆめみん青山保育園も、このダイバーシティ部が中心となって立ち上げを行ったのだそうだ。

ダイバーシティ部の女性たち7人の気持ちが結集してできた保育園だ

 月に一度は、社長とダイバーシティ会議があり、直接意見を言ったり、改善を提案する機会がある。フルタイムの正社員であれ、ショート正社員であれ、社長とともに同じ会議の席につけるのは、この会社にある「本人の資質とは無関係な理由で分け隔てをしない」という精神のおかげだと感じている。

 さて、日々、最前線で働く上沖さんを支えるものはなんだろうか。

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2013.10.17(木)
text&photographs:HITOMINA