市内から日帰り観光もできるモンセラット

80年以上前からモンセラット山と下界をつなぐロープウェイ

 バルセロナから北西に約50キロ、市内を少し離れるとすぐその独特のフォルムが目につくモンセラット山。地元カタルーニャの人々の信仰の対象として、また市内からの日帰り観光先としても人気のこの山を改めてご紹介しよう。

 まずは、行き方から。電車でモンセラットに行く場合、いったん山のふもとまで行ってそこからAeriアエリ (ロープウェイ)、もしくはCremalleraクレマイェラ (ラック式登山鉄道)に乗り換えることになるのだが、行きはロープウェイがおすすめだ。

 エスパーニャ広場の地下、Pl.Espanya駅からFGCカタルーニャ鉄道に乗ってAeri de Montserrat駅へ。そこからロープウェイに乗り継ぐことになる。黄色い車両に乗り込んだら、できれば前方の位置を確保しよう。最大傾斜45度、1350メートルを5分で登りきる間、ぐんぐん目前に迫ってくる岩山は迫力満点である。

岩山にはりつくように建つ修道院と教会

 ロープウェイを降りたら、やはり最初は黒い聖母像La Moreneta ラ・モレネタ を拝みに修道院付属の教会へ。伝説によれば、9世紀終わりごろ、山中で何か光っているのを見つけた羊飼いたちが光のもとをたどったところ、洞窟の中で聖母像を発見。知らせをきいた土地の司教が聖母像を町の教会まで運ぼうとしたが、重くてどうしても動かせない。これはきっと聖母様がこの土地を動きたくないのだろうということで、その地に小さな庵を建てて聖母像を祀ることになった。この庵が現在の大修道院の原点である。カタルーニャの守護聖母として絶大な人気を誇るこのラ・モレネタ、ご聖体に触れてそのご利益に与ろうと、いつも長い行列ができている。

 なお、この修道院にはこの聖母像と並ぶ人気者がある。それはEscolania エスコラニアと呼ばれる少年合唱団だ。ヨーロッパ有数の歴史を誇る合唱団で、その美しい歌声を聴くためにミサに参加する人も多い。

左:教会内部。奥の祭壇上部に黒い聖母像が安置されている
右:黒い聖母像ラ・モレネタ。ガラスケースの一部に穴が開き、そこだけ直接触れられるようになっている。photo Misburg3014

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text:Miyuki Tsubota