巨大な古代都市公園からガウディばりの寺院まで

黄金の千手観音とドラゴンの組み合わせがすごい
タイ全土の遺跡に加えてアンコールワット遺跡のミニチュア版も

 まずは、エラワン・ミュージアムから15kmほど、128万平方メートルという広大な土地にタイ全土の文化遺産が大集合の古代都市公園“ムアンボーラーン”。園内は広過ぎて、徒歩では回るのは無理なので、カートかトラム、労力を厭わなければ無料の自転車で。

 なかには創造的建造物と銘打ったドラゴンが池で水を吐いていたりするが、ホンモノの建造物の移築、再現レプリカが立ち並んでいて、ここに来れば、タイ中の有名な史跡や文化遺産をざっと見られる仕組み。

 ビルマとの過去の戦いで焼失してしまったアユタヤ王国の王宮も再現されており、タイ国内から子供たちが研修で訪れたりもするそう。大富豪の懐の深さに驚くばかり。

一体、何体の神様仏様がいらっしゃるのか。どちらを向いて拝めば良いのか、ちょっと分からない

 最後にもう一つ。これまた見た目に驚かされるのがパタヤのビーチに建造中の“サンクチュアリ・オブ・トゥルース”。

 釘を1本も使わないで建てたという建物に、いったい何体かあるか分からない膨大な数の仏像・ヒンドゥー教の神像が彫られている。

 新しく彫っているうちに、以前のものを補修する必要が出て、永遠に完成することはないともいう。ここも神仏混合で、正確には寺院というより、レック氏がタイの木造建築技術を残し、信仰を表すために建てたモニュメント。

 後世に歴史や文化を伝えたいという情熱が自然と仏様、神様に結びつく。 大富豪の私的歴史遺産は、 確かに混ぜこぜで、てんこ盛りではあるけれど、信仰深く大らかなタイらしさに満ちていた。

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。

Column

トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート

大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!

2013.10.01(火)
text & photographs:Michiko Ono Amsden