東と西の文明が融合し、独特の文化を生み出したシチリア最大の都市、パレルモ。

 複雑な歴史と異文化が混ざり合うカオスが、好奇心を掻き立てる。エキゾティックに薫る、エキセントリックな地中海の十字路へ。

 5回に渡り、パレルモの魅力を紹介。今回は「1000年の歴史を誇るイタリア最大級の巨大市場」。

» 第1回 今も残る貴族の館で18世紀のリアルを体感する 
» 第3回 今のパレルモを味わうグルメ最旬アドレス
» 第4回 パレルモのラウンジ・バールでライトディナーを
» 第5回 パレルモのベル・エポックを象徴する典雅なホテル

巨大な庶民の台所は必見の観光スポット
バッラロ市場

 いくつかあるパレルモの常設市場の中でも、その規模と品揃えの豊富さで、群を抜くのがバッラロ市場。かつてこの街を支配した、商売上手なアラブ人が始めたと伝えられ、実際、10世紀のアラブ人旅行者の手記にも登場する。

 常設市場とはいえ、バッラロ市場が開かれるのは、下町エリアの雑多な路地裏。生活感漂う路地に、生鮮食品から加工品まで、ありとあらゆる食材を山積みにした屋台が、ぎっしりと並ぶ様子は壮観だ。

地中海から届く海の幸/毎日港から届く魚介は、生でも食べられる新鮮さ

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photographs:Atsushi Hashimoto
text:Sawako De Nola Iwata