鈴木亮平を使いたい人の期待に120%応える

――以前、気になる俳優でジェレミー・レナーを挙げられていましたが、演技派である彼も『アベンジャーズ』でアメコミヒーロー(ホークアイ)を演じていましたね?

 彼の芝居は、『ガッチャマン』のときに頭のどこかにありました。彼は『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』や『アベンジャーズ』といったエンタメ大作に出演しても、“それっぽい芝居”をしないんですよ。彼なりのリアリティを譲らないし、ほかの役者の芝居を邪魔することもない。それがスゴくフックになって面白いので、『ガッチャマン』ではあの感じを出せればいいなと演じていました。

 ヒーローものってストレートに書かれているセリフが多いんですが、人間としての悩みや葛藤を踏まえてそのセリフを吐く。それが重みに繋がると思うんです。アクションにしても、どれぐらい疲れているのかを細かく意識したりして。それを突き詰めていけば、これまでの日本のヒーローものとは違う「ヒーロー映画」になるんじゃないかと。

――最後に、鈴木さんの今後の展望を教えてください。

 しばらくは他人に求められる流れに身を委ねてみようかなと思っています。昔はこういう芝居をしたいとか、こういう作品に出たいというのが強かったんですが、今は“こういうふうに、鈴木亮平を使いたい”という人の期待に120%応えられるようになりたい。その結果、僕がどこに流れつくのか、というのを見てみたいんです。もしかしたら、数年後“日本のシルベスター・スタローン”になっているかもしれないし、“日本のクリスチャン・ベール”にもなっているかもしれないですから(笑)。

鈴木亮平(すずきりょうへい)
1983年3月29日生まれ。兵庫県出身。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒業。2006年、史上初の東レ水着キャンペーンボーイに選ばれる。演技学校アクターズクリニックで演技を学び、07年にドラマ『レガッタ~君といた永遠~』で俳優デビュー。翌08年『椿三十郎』で映画デビュー。俳優として、数々の映画・ドラマ・舞台で活躍するほか、現在エンタメ番組「FOX BACKSTAGE PASS」(Foxチャンネル)では司会を務める。

『ガッチャマン』
21世紀初頭。謎の侵略者によって、17日間で地球の半分が壊滅的な被害を受ける。侵略者から地球を守るため、“石”という特殊な結晶体の力を引き出せる適合者が集結。施設に集められた適合者(松坂桃李、綾野剛、剛力彩芽、濱田龍臣、鈴木亮平)は特殊エージェントとしての訓練を受けて、石を操る忍者ガッチャマンとして侵略者と戦うことになる。
www.gatchaman-movie.jp
(C) タツノコプロ/2013 映画「ガッチャマン」製作委員会
2013年8月24日、全国東宝系にてロードショー

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2013.09.06(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Hirofumi Kamaya