活気あふれるローマのナイトライフを取り戻そう

 夏のバカンスの過ごし方が多様化してきているイタリア。料金が高く、混み合うハイシーズンをリゾート地で過ごすのはあえて避け、ひと月近くある長期休暇を分散して楽しむイタリア人が増えている。

  そんな都市居残り組の救世主(?)とも言えるのが、夏の間、各地で開催される野外イベントだ。結果、8月になるとゴーストタウン化していたひと昔前の大都市は大きく様変わりし、街のあちらこちらが賑わいを見せるようになった。

  とくに、街そのものが博物館さながらのローマはイベント会場には事欠かない。野外ステージや特設会場を設け、音響設備さえ仕込んでしまえば、どんな舞台装置も足下にも及ばない美しい劇場ができあがる。というわけで、遺跡、公園、テレヴェ川沿いのスペースを利用して開催される数多くの催し物 (映画、オペラ、コンサート、露店、スポーツイベント、オープンバー、ナイトツアーなど) は、地元のロマーノたちに限らず、旅行客にも非常に人気が高い。

  毎年6月から9月の間に開催されるこの『Estate Romana~ローマの夏~』というイベント。大きく飛躍し成長を遂げたのはここ15年ほどのことだが、実は来年で35周年を迎える。もともと屋外派であるロマーノたちが夜の街から姿を消していったのは1970年代のことだった。理由は、当時イタリア各地を襲ったテロリズム事件の影響とテレビの普及だったと言われる。そんな暗黒の時代、再び、活気あふれるローマのナイトライフを取り戻そうと、ローマ市によって考案されたのが、遺跡や公共の場を開放しての野外イベント『Estate Romana~ローマの夏~』だったわけだ。 

text&photographs:Yukie muramoto