子連れ海外取材に役立つ心得、グッズとは

 川上さんの場合、3年間で子連れフライトが実に20本。ルーマニアには、片道16時間かかるが、それでもさほど苦ではないという。

 まず、時間に余裕を持つこと。通常、離陸2時間前に空港に着けばよいが、子連れになってからは、5時間前に空港に到着することも。搭乗手続き、食事、お昼寝の兼ね合いもあり、それだけ余裕を持って飛行機に乗れば、子どもも機内で熟睡できる。周りの人に一声かけておくなどのちょっとした配慮も必要だ。

「動きが取れず大変なのは、離陸と着陸のときのみ。あとは、歩き回ることもできるのだから、なんとでもなりますよ」

 耳抜きには、吸うゼリーを食べさせる。特別なおもちゃは、不要。「だって機内そのものがおもちゃ感満載でしょ」とサラリ。どこにいても、そこにあるもので想像力を駆使して遊べるようにしておくことが大切なのだと言う。

リモコンをバーコード替わりにしてお店屋さんごっこをしたり、機内マップを迷路に見立てるなど、その場にあるもので遊ぶ。4歳の今年は英字新聞から特定のアルファベットを探すゲームに熱中

 子連れ取材で困るのは、どうしても子どもの手を離さざるを得ないときのこと。荷物を持って切符を買う。ここぞというシーンの写真を撮る。そんなときに手を離したら、幼児はパッと走っていってしまうことも。川上さんが愛用しているのは子ども用ハーネスだ。

 ハーネスの持ち手さえ握っていれば、一瞬の危険を回避することができる。ちなみに川上さんがもっているハーネスは、ごく一般的に量販店で売っているものだが、海外でも「マダム! グ~!」とどこでも声をかけられ、とても評判がいいそう。ハーネスがきっかけになり、会話が弾むこともしばしばだ。

1~3歳くらいまでの子どもと一緒のときには、自由に動き回れてその上安全なハーネスは必需品。4歳になれば、しっかりコミュニケーションがとれるので必要もなくなる

 川上さんは、こうしてどんどん子どもを海外に連れ出しつつ、日本にいるときは仕事は週に3~4日に抑え、常に子どもとの時間を大切にすることを忘れていない。

「子連れ海外取材」というと何やら派手にも聞こえるが、意外なことに「大切なことは、普通の生活」だと言う。

 買い物に行く。食事を作る。洗濯物をたたむ。そうした普通の生活を、地球のどこにいても子どもと一緒にできること。それが、食育やそのほかの教育につながり、生活力を培い、その基盤が国際的に通じる力を養っていくと川上さんは感じている。

「いつまで一緒に行ってくれるかな」と首を傾げながら川上さんはちょっと考え込んだ。子どもが自分の世界を持ち、ついて来てくれなくなる頃、それは、今一生懸命川上さんが仕事を広げていくために蒔いている種が、花を咲かせ、実を付ける時なのかもしれない。

Column

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2013.08.15(木)
text&photographs:HITOMINA