小さな港街エステポナのラグジュアリーホテル

滞在をより幸福にするうれしい驚き

一見、無国籍なホテルリゾートだが、建物のそこかしこにイスラムテイストを取り入れてアンダルシア感を演出しています

 すべてが、行き届いたサービス。しかも慇懃無礼ではなく、にこやかな、こころからと思える笑顔での対応。ケンピンスキーとはいえ、本国ドイツでもこうはいかないのではないかという“おもてなし”なのだ。このうれしい驚きが、滞在をより幸福にしてくれることはいうまでもない。アンダルシアの旅がいっそう楽しめるというものである。

 もうひとつポイントの高いのが、庭の広さだろう。ハイシーズン、たとえフルブックでも、必ず自分の居場所を見つけることができるだけの、広さを備えている。意外と気がつかないことなのだけれど、これはリゾートとしてとても重要だ。どんなに美しい庭やビーチであっても、うろうろ座る場所を探すなど興醒め。そんな心配がないのは、喜ばしいことだ。

アンダルシア屈指とホテルが誇る“ポニエンテスイート”。メゾネット形式で2フロアに分かれ、こちらは展望ルーム

 客室のインテリアはモダンだがコージー。クールにしすぎないスタイルが信条で、機能的かつ温もり感のあるさじ加減が絶妙だ。

 こうしたバランス感覚、配慮は、建物全体のデザインにも払われているようで、ともすると無国籍になりがちなリゾートホテルという箱を、色や曲線使いでローカル色を演出。ユーモラスなアートピースを置いたりと、遊びの趣向にもこころを砕いている。

 何にしても抜群の居心地のよさ。さすがのケンピンスキー。コスタ・デル・ソルの滞在は、ここに決まりだ。

photographs:Yuji Ono
realization & text:Satsuki Ohsawa
coordination:Terumi Moriya