アジアきってのコスモポリタンシティ、香港。英国統治時代、中国返還と、時代とともに変わりゆく街を見つめ続けるひとつのホテルがある。香港の中心地、中環に建つ「マンダリン オリエンタル 香港」だ。香港島で初のホテルとして、イギリス系のジャーディン・マセソン社跡地に「マンダリン・ホテル(開業当時の名)」がオープンしたのは1963年のこと。かつて、「九龍半島のペニンシュラ、香港島のマンダリン オリエンタル」と並び称されたこのホテルも、来年で開業50周年を迎える。

左:現在のマンダリン オリエンタル 香港。背後にそびえるのは高層ビル
右:1963年のマンダリン・ホテル(現マンダリン オリエンタル 香港)。当時、香港島で一番高い建物だったホテルの背後には山が見える

 開業当時は、アジアで初めて全客室にしつらえられたバスタブや直通ダイヤル、香港島で一番高い建物も話題となった。今や、香港を拠点とするマンダリン オリエンタル グループは、世界各国で展開する屈指のラグジュアリーホテルチェーン。2005~2006年には9カ月間にも及ぶ一大改装を行い(ゲストに迷惑をかけないよう、ホテルの機能を完全にストップするという思い切った姿勢に感服!)、ゲストルームはぐっと広くなり、伝統と格式を保ちつつも、最先端システムを備えたホテルとなった。

左:開業当時の広告。イラストで建物が描かれている
右:60年代の写真。ホテル前のヴィクトリア・ハーバーには簡素な船が浮かぶ

 マンダリン オリエンタル 香港といえば、名だたるダイニングも香港ツーリストにとっては憧れの的。広東料理の名店「文華(マン ワー)」、フランスのシャンパーニュメーカー「KRUG」がアジアで唯一手がけるプライベートダイニング「THE KRUG ROOM」、テレンス・コンラン氏によるインテリアが斬新な「ザ・マンダリン バー&グリル」、“厨房のピカソ”の異名を持つピエール・ガニェール氏がプロデュースしたフレンチの「ピエール」など、世界中にファンを持つダイニングが揃う。

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2012.12.24(月)