ダイヤモンドの歴史を刻み
愛の絆を結んでゆく

人気の高い「ロイヤル・アッシャー・ブリリアントカット」は74面が放つ煌めきが特徴。ペンダント(PT×0.17ct~) 268,000円~/ロイヤル・アッシャー(ロイヤル・アッシャー・オブ・ジャパン)

 少し遅い初夏。優雅に流れる運河の水面も傍の新緑も、陽光を浴びて宝石のようにキラキラ輝いている。

チューリップはオランダの象徴。

 ここは17世紀頃から“ダイヤモンドの街”として知られるアムステルダム。遡れば中世の時代に迫害を受けたユダヤ人が、信教の自由のあるこの地に安住を求めたことが発端という。

歴史的資料にみるアッシャー社(右)周辺。

 携帯が容易で資産価値が高い宝石類を好んで所有した彼らは、アムステルダムでビジネスの礎を築いたのである。

 1854年創業のロイヤル・アッシャーは、この街で6代に継がれ、歴史と偉業を刻んできた名門ジュエラーだ。

左から:社長エドワード、次男で副社長のマイク、長女でNY支社長のリタ。©Yoshihito Sasaguchi

 本社屋はその名も「DIAMANTSTRAAT(ダイヤモンド通り)」の突き当たりに、威風堂々とそびえ立つ。

左:オランダらしい建築の本社屋。
右:本社前の「DIAMANTSTRAAT」のサインプレート。

 聞けば、かつてそこに80を超えるダイヤモンド工房が軒を連ね、職人たちが技を極めていたという。その様を頂点から見守り、彼らを牽引していたのがロイヤル・アッシャーなのだ。

創業者のアイザック・ジョセフ・アッシャー。

 偉業といえば、まずは世界史上最大のダイヤモンド原石「カリナン」のカットを成功させたことだろう。1905年に南アフリカで発見されたそれは、なんと3,106カラット。

 当時、隆盛を極めていた英国国王エドワードVII世に献上されるも、「ダイヤモンドは輝いてこそ」とカットを勧めたのが、3代目ジョセフである。

ジョセフ(手前)とアブラハム兄弟は1903年に「エクセルシオー」のカットに成功。

 彼は'02年に58面を持つ「アッシャー・カット」を開発して一世を風靡。'03年には997カラットの原石「エクセルシオー」のカットを成功させ、“世界一のカッター”と呼ばれていた。

 ゆえに、“世界最大の原石のまま所有”を望んだ大英帝国国王とて、説得に応じたのであろう。

「カリナン」のカットに挑む3代目ジョセフ。

 こうして'08年、ジョセフは「カリナン」のカットに挑み、成功。

1908年当時の作業台。

 切り出されたダイヤモンドのうち、最大530.2カラットの「カリナンI世」は英国王室の王笏に、317.4カラットの「カリナンII世」は王冠に埋め込まれ、'53年に現英国女王エリザベスII世の戴冠式で披露された。

人気の高い「ロイヤル・アッシャー・ブリリアントカット」は74面が放つ煌めきが特徴。リング〈上〉(PT×センターDIA0.17ct~) 238,000円~、〈中〉(PT×センターDIA0.17ct~) 286,000円~、〈下〉ハーフエタニティ(PG×DIA) 180,000円/ロイヤル・アッシャー(ロイヤル・アッシャー・オブ・ジャパン)

 「カリナンⅢ世」(94.4カラット)と「カリナンⅣ世」(63.6カラット)も当時は王冠に飾られたが、現在はブローチにデザインし直され、女王の胸元でしばしばその優美な輝きが目撃されている。

Edit, Styling & Text=Mami Sekiya
Photo=Kanji Ishii, Hirofumi Kamaya(cutout)
Assistant Edit=Mai Ogawa
Special Thanks=LEKKER BIKES, WOLKERS

この記事の掲載号

イタリア

CREA Traveller 2019年夏号

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イタリア

定価1,350円 (税込)

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