2時間歩いてたどり着く
究極のスパとは?

 2日目はスパでトリートメントを体験。

 リゾートにスパはつきものだが、「ニヒ・スンバ」のスパは、ほかに類をみないオリジナル感がある。

 リゾートから約2時間歩いて渓谷のスパエリアまで行き、そこで朝食をとり、プールで過ごし、トリートメントを受けて半日または1日を過ごすアクティビティは、その名も「スパ・サファリ」。

 かなり斬新なアクティビティだが、これも、ただ豪華というだけではなく、特別な体験や刺激を味わわせてくれる「ニヒ・スンバ」ならでは。

 体力に自信がない人は、往復路ともに車で送迎があるが、私は迷わず徒歩コースを選択。

 スタッフに導かれ、「スパ・サファリ」に参加するほかのゲストとともに、スパエリアへ向けて出発。

 眼下に海が広がり、森はきれい……と、最初は散歩気分だったけれど、しだいに道はハードなものに。

 サンダル履きだからぬかるみでは足元がつるつる滑るし、山を歩くから上り坂もたくさんあるし、ジャングルのなかの小道は虫だって飛んでいる。

 でも、その合間に見たのは、美しく素朴な島の暮らしだ。

 立ち寄った集落では、子どもたちとあいさつを交わし、水汲み場でバケツを頭に乗せた女性とすれ違う。

 野生の豚の親子、泥浴び帰りの水牛の群れ、農作業をする村の人々……、次々に現れるのは、ふだんの暮らしではもちろん、ありきたりのリゾートでは触れ合うことのない、ローカルの空気そのもの。

 これは、お金で買えるものではない。

 山を越え棚田を歩き、ようやく到着したスパエリアは桃源郷そのもの。

 断崖の上に広がるスパの両側には、海と棚田が広がっていて、この景色だけでも癒されてしまう。

 とはいえ、たくさん歩いてお腹もペコペコ。まずは、真っ白なビーチを見下ろす絶壁にあるダイニングで朝食を。

 用意されていたのは、フルーツやホームメイドのヨーグルト、パン、熱々の卵料理。

 午前中の優しい太陽を浴びてキラキラと輝く海を眺めながらの朝ごはんは、あまりに気持ちがよくて、思わず食が進んでしまう。

 トリートメントは、海や棚田を見渡すプライベートガゼボで。

 マッサージは絶妙なタッチで心地よく、寄せては引く波と葉擦れの音はまるで子守歌のように響き、気がつけば、すっかり熟睡してしまっていた。

 終わって目を覚まし、最初に目に飛び込んできたのは青空とヤシの木。

 こんな開放的なトリートメントは初めてかもしれない。

2019.04.16(火)
文・撮影=芹澤和美