マウイ島にそびえる世界最大級の休火山、ハレアカラー。太陽の家を意味するハレアカラーの物語は、島の名前にもなった半神マウイが主人公だ。いくつかの説があるが、マウイの母であるヒナはカパという布作りの名人であり、カパの布を乾かすためには、走り去る太陽を捕まえなくてはならなかった。そこで、ハレアカラーの頂上付近に住んでいたマウイの祖母の知恵をかり、マウイは太陽の足を捕まえ、頂上付近に縛り付けた、という。

音もなく、冷たい空気のなか、空が色を変えていく。サンライズ、サンセットを見に行くときは、防寒具を忘れずに、そして暗闇のなかのドライブには十分に注意を。空気が薄いため、頂上付近では特にゆっくり歩くことを心がけよう

 ハレアカラーの最後の噴火は1790年ごろ。車で登ることができる標高3055メートルの頂上付近の景色は、地上とはまるで別世界だ。火山活動でできあがった小さな丘がいくつかあり、火山特有の赤土や岩が見渡す限り続く。頂上で見る雲の上の景色は、生涯忘れ得ないものになるだろう。夜明け前に登り、凍る空気のなかで日の出を待ち、国立公園職員の詠む日の出のチャント(祝詞)を聞きながら、荘厳なる景色を見守る。また、雲のなかに夕日が沈み、この世のものとは思えない空の色の変化を眺めたあと、星空を楽しむのも最高だ。

国立公園入り口付近や頂上にはいくつかのハイキングトレイルがある。火口周辺を歩く有名なトレイルのケオネヘエヘエ・トレイル(スライディング・サンズ)や短距離版があるので、国立公園職員がガイドをしてくれるツアーに参加してみるとよい

 ハレアカラーを訪れる際に絶対に見逃せないのが、山の裾野に広がるクラ高原エリアがもたらす大地の恵み。火山灰の土壌と降り注ぐ太陽がもたらした代表的な作物は、いまやグルメ野菜ともなったマウイオニオンだ。名だたるシェフをうならせる甘みのあるオニオンを生産している、日系四世のモンデン・ファミリーが経営するクラ・カントリー・ファームのファーム・スタンドにはぜひ立ち寄ってみたい。オニオンの他にも、季節の果物や野菜が並ぶが、特に甘酸っぱい苺で作るジャム類は逸品だ。

クラ・カントリー・ファームのマウイオニオンが、シェフに特に愛用される理由はファームの位置する標高にある。標高700メートルあたりのこの斜面では、オニオンがゆっくり育ち、皮が分厚く甘みが増すのだ。この標高より少し高くても少し低くても駄目だとか

 ファーム巡りはマウイ島の味を楽しむのに最適。クラ高原にあるいくつかのファームのなかでもとびきり美味しいファームが2つある。オオ・ファームとアリイ・クラ・ラベンダー・ファームだ。

Haleakalā National Park (ハレアカラー国立公園)
電話番号 +1-808-572-4400(管理事務所) 
営業時間 国立公園入り口のPark Headquarters Visitor Centerは6:30~15:45、頂上のHaleakalā Visitor Centerは5:00~15:00
入場料 1人5ドル、乗っている人数にかかわらず車1台が10ドル(ともに3日間有効)
URL www.nps.gov/hale

Kula Country Farms (クラ・カントリー・ファーム)
場所 Kula Highwayのマイルマーカー13
営業時間 火~金曜11:00~17:00、土・日曜11:00~16:00 
定休日 月曜
URL kulacountryfarmsmaui.com

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2012.10.26(金)