悠久の時が流れる穴場バールは
旧市街のオアシス!

 地中海の真ん中に位置し、古代地中海世界の中心的な存在だったシチリア島。

 「ヒメラの戦い」や「ポエニ戦争」など、聞いたことあるある~な有名な戦いが行われていたのは、パレルモのご近所(笑)。

 それだけに、そりゃ遺跡資料も集まりましょう。といったところではありますが、やはりそこはシチリア文化の重要拠点として、有識者や富裕層が集まった“首都”だったからこそ。

 サリナス・ミュージアムの膨大なコレクションには、その時代の記憶のみならず、首都として文化的にも経済的にも華やいだパレルモの栄光の記憶が刻まれているようでもあるわけです。

 簡潔に言えば、ヴィスコンティの映画『山猫』で描かれた時代のパレルモって本当にイケてたのねぇ、といった感じ。

 古代はもちろん、近代の歴史も知れば知るほど興味深く、面白さも貴重さも増しますが、“そこにいて”遺跡が放つオーラを感じ、眺めるだけでもきっと価値はあります。

 だって、これだけの地中海の歴史の証拠を、しかもカルタゴの将軍ハンニバルの父も拠点にしたパレルモで見るなんて!

 ……といっても、やっぱり古代歴史ファンでもなければピンとこないかもしれません。

 壺や石片のほかにも、2,000年以上前の針や洒落た細工のピアスなど、遠い歴史がリアルな現実に変わるような雑貨や黒魔術の道具まで(!)よく見ると興味深い遺物も大量に陳列されています。

 「今は、脈々と続いた過去の続きなんだなぁ……」と感性を刺激され、人生観世界観が変わるかもしれない館内を歩き回って疲れたら、小回廊のバールのテラスでひと休み。美しい噴水でのどかに泳ぐ亀が癒してくれることでしょう。

 バールは、「暖かくなったら、夜間営業も開始予定」とのこと。夕涼みを兼ねたアペリティーボも素敵かもしれません。

 でも、スタート時期は不明。3千年の歴史を前にすれば、数日先の予定を決める意味はなくなるようです。これが、パレルモ(笑)。

 悠久の時間が流れる美空間で、異文化の旅の醍醐味を楽しんでみては?

シチリア州立パレルモ考古学博物館
「アントニーノ・サリナス」

所在地 Piazza Olivella, 24, 90133 Palermo PA
電話番号 91-6116805
営業時間 9:00~18:00(日・祝~13:30)
定休日 月曜
入館料 3ユーロ ※第1日曜 無料
http://www.regione.sicilia.it/bbccaa/salinas/index.html
イタリア政府公認ガイドと一緒にじっくり見たい方におすすめ!
観光のプロガイドと歩くパレルモ
https://lavacanzaitaliana.com/palermo-guida/

岩田デノーラ砂和子

2001年よりイタリア在住のライター/コーディネーター/通訳。現在はシチリア州パレルモ在住。メディアから個人旅行者までイタリア専門コーディネートチーム「La Vacanza Italiana」を主宰・運営。イケメン犬ボン先輩とヤラカシ系イタリア人の夫との日々を綴るBLOG「ボン先輩は今日もご機嫌」も大人気。イタリア関連書籍も多数手がけ、イタリアで5万部超えベストセラーの日本語版『I LOVE TOKYO』がただいま絶賛発売中!

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文・撮影=岩田デノーラ砂和子