ブラックペッパーが効いた
香り高い塩卵ソースに悶絶

 まず、王道の二大ソースは、ブラックペッパーとチリソース。

 スパイスの王様とうたわれる胡椒をコレでもか! というほどたっぷり使ったブラックペッパー味は、パンチのある辛みと豊かな香りが特徴。マレーシアは自国で胡椒を生産しているため、地元の名物としても人気です。

 チリソースは、じわっと広がる深い辛みのなかに、甘みと酸味があります。

 ソースがとろっとしているので、食べると手がベタベタになりますが、そのかわりに、このソースを炒飯にかけて餡かけ風にしたり、食パンにつけたりして食べるという、もうひとつの楽しみ方があります。

 次に、ここ数年ブームになっているのが塩卵(ソルティッド・エッグ)味。

 お粥のトッピングとしておなじみのアヒルの塩卵。その黄身をソースにしたもので、濃厚な香りに黄身のまろやかさがやみつきに!

 そして、マレーシアらしい味といえば、カムヒョン。

 漢字で「甘香」と記し、唐辛子の辛み、カレーリーフの香り、玉ねぎなど香味野菜の甘みが三位一体になったソース。

 オイスターソースを香りづけに使うことが多く、日本人も食べやすい味です。

 そのほか、チーズ、ガーリック、マーマイト、バターミルク、葱生姜、トマトケチャップ……など、数えきれないほどのバラエティ。

 それらがどれもビックリするぐらい凝った味で、淡白なカニによく合うのです。

 いや、むしろマレーシア人は、カニそのものより、このソースにハマっているのでは……と思ってしまうほど深いソースの世界。

2019.03.17(日)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)