上質な常設展示や企画展に
世界中の美術関係者が注目

 「ルイジアナは、『単にそこに存在する』ために行く場所で、来館者がここで何をし、何を感じるかは各人に委ねられています。作品と私たち自身が触れ合うこと、それがルイジアナ創立時の発想であり、今日まで受け継がれています」と、館長のポール・エリック・トイナーは話す。

 とはいっても、館長からのおすすめポイントもあるはずだ。

「ルイジアナの中で最も美しく、国際的評価を受けているのは、ジャコメッティ・ギャラリーと呼ばれている、西棟からカルダー・テラスへ向かう途中の展示室です。窓から見える池からの反射、木々、そしてジャコメッティの彫刻が、あたかも総合アートのように融合しています。この調和がもらたらす荘厳さと親密さを、瞬時に感じるのではないでしょうか。空間とアートの相互作用を引き出すことに成功しているといえるでしょう」

 「みんなの近代美術館」としてスタートし、近代美術に縁がない人々にも親しまれている一方で、ルイジアナの常設展示や企画展の質の高さに世界中の美術関係者が注目している。

 大衆主義に陥らず、エリート的評価基準を維持しつつもそれを標榜することはないというのが、ルイジアナが誇るバランス感覚だ。

 来館者が肩肘張らず、精神的な豊かさを得られる工夫は、設立者が元ビジネスマンとして、人々を惹き付ける術を熟知していたからといわれるが、その精神はルイジアナのあちこちに浸透している。

 テーマパークに行くように訪れたい。

ルイジアナ近代美術館

所在地 Gl. Strandvej 13, Humlebæk
電話番号 4919 0719
開館時間 11:00~22:00(土・日曜、祝日 ~18:00、カフェは閉館時間30分前まで)
休館日 月曜、12月24、25、31日、1月1日
入館料 125デンマーク・クローネ
https://www.louisiana.dk/

Feature

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Text=Chieko Tomita
Photo=Atsushi Hashimoto