脚本執筆時の苦悩や迷宮感を
映像的な作画で見事に表現

 ジーン・フィニは、映画ファン。映画監督になる夢を叶えるため、敏腕プロデューサー・ポンポさんの下で製作アシスタントとして働き始める。その潜在能力を見いだされ、メジャー作品の監督に大抜擢されて──。「続編」をテーマのひとつに据えた第2巻では、デビュー作で評価を得た新米監督ならではの葛藤が描かれていく。

 「プロ」としての仕事に徹することができず、「ファン」であり続けようとして挫折したジーンに対し、ある登場人物は言う。〈ファンっていうのはファナティック 熱狂的に好きって事でしょ〉〈常軌を逸した好きが 常軌を逸した作品を生む〉。だから、そのままでいい。

 その言葉通り、ジーンは映画に対する「熱狂的に好き」な気持ちを武器に復活を果たす。「楽しい」を意味するファン(fun)ではなく、呪いにも似たファン(fan)の感情を描き出した第2巻は、第1巻より10倍面白い!

『映画大好きポンポさん』
(既刊2巻)

青年ジーンは幼い頃から人間関係が苦手で、〈映画の中だけが僕の世界だった〉。ポンポさんいわく、〈現実から逃げた人間は自分の中に 自分だけの世界を作る〉。第2巻ではジーンが初めて脚本執筆に挑む。アニメ業界で働く作者ならではの、映像的な作画表現にもグッとくる。
杉谷庄吾 KADOKAWA 800円(第1巻)

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2019.01.04(金)
文=吉田大助

CREA 2019年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

居心地のいい部屋。

CREA 2019年1月号

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居心地のいい部屋。

定価780円

好みや条件は人ぞれぞれでも、「このままずっとこもりたい……」と思えるような部屋だと、結構幸せな気がします。キーワードは「居心地のいい部屋」。お宅拝見からアイテム選びまで、新しい年を気持ちのいい部屋で迎えるヒントが詰まった1冊です。

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