受け継いできたものすべてが
「新生サバティーニ」を作る

 パスタも魚料理と同じくクラシカルなメニューから「伝統的なトスカーナ風 イノシシの煮込みソース 自家製幅広パスタ パッパルデッレで」を選択。

 トスカーナではイノシシをよく食べるそうで、ソーセージやオーブン焼き、ラグーなどイノシシ料理はとても豊富だ。

 あぁ、素晴らしい! イノシシはやわらかくて臭み知らず、濃厚なソースがパスタと絡み合って喉を通ると天にも昇る美味しさ。

 今年はイタリアでイノシシがなかなか獲れないようで、本日は丹波産。ワイルドなのかと思いきや、意外にマイルド。味は濃厚だけど脂はさらりと溶けてしまう。

 メインはペポーゾ(粒のままの黒胡椒を赤ワインと一緒に長時間煮込む料理)をモダンにアレンジした料理だ。

 フィレンツェの南にあるインプルネータの煉瓦(テラコッタ)職人さんたちが、煉瓦を焼く窯の隅に鍋を置いて作ったと言われていて、ペポーゾにドライフルーツを入れて煮込むのがインプルネータスタイル。

 本来はもっとどっしりと重いソースでシンプルな盛り付けだが、こちらはソースも軽く、野菜やマッシュポテトを添えて見た目もグンと華やか。

 赤ワインのコクに黒胡椒のパンチが効いてちょっぴりスパイシーなソースに、スネ肉の旨みも相まって極上の味わい。濃厚なソースは少量でもたくさんのパンが食べられるので貧しかった職人さんたちのお腹が満足できたという。

 そんな庶民的な料理も「サバティーニ」の腕にかかれば至極の皿に生まれ変わる。

 こうやってスタッフと話しながらメニューを決めたり、目の前で作ってくれるワゴンサービスがあったりすると、レストランで食事することの楽しさを実感する。

 それは長い間、受け継がれてきたレシピだったり、サービスだったり、空間だったり……、伝統が築きあげてきたものだ。

 古いとか新しいとかを超えた新生「サバティーニ」をぜひご堪能あれ!

サバティーニ・ディ・
フィレンツェ東京店

所在地 東京都千代田区有楽町2-2-3 ヒューリックスクエア東京3F
電話番号 03-6263-9390
営業時間 11:30~15:30(14:30 L.O.)、17:30~23:00(21:30 L.O.)
定休日 不定休
予算 ランチコースは3,800円~/1名、ディナーコースは13,000円~/1名アラカルト:パスタ 2,800円~、メイン 4,200円~など
[2018年12月訪問]
https://www.miyoshi-grp.com/cardinal/sabatini/

高橋綾子(たかはしあやこ)

東京都生まれ。フードバプリシスト。国内外ファッションブランドのPR時代に培った食のデータと人脈を武器に“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ日々。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2019.01.08(火)
文=高橋綾子