北欧、断捨離、ポートランド。部屋づくりには色々なブームがありましたが、今は人それぞれ。それでも誰もが求めているのが「居心地のよさ」だと思います。

 だから、自分の部屋を「週末ずっといたい、一歩も外に出たくない」と思えたら、結構幸せな気がします。新しい年を居心地のいい部屋で迎えませんか?


「こうするといいかも?」の工夫で
個性豊かなものも収まりよく

●小宮山裕介さん、わだりかさん
[ともにフォトグラファー]
1LDK/2人暮らし

 小宮山さんとわださん夫妻が暮らすのは、“大家さんが照明の設計家”の賃貸マンション。

 キッチン、バスルームまわりだけでなく照明や扉までセンスよくリノベーションされている。

 「最初は、超シンプルなステンレスのカウンターしかなかった」というキッチンは、むしろ大工仕事好きの小宮山さんにとっては自由にカスタマイズできるうれしい機会だった。

 収納がいっさいなかったため、スパイスや料理道具など、物のサイズを測り、それらがきれいに収まるように、カウンターの上下に棚や収納をDIY。

 特に活躍したのが、小学校の理科室で使われていた引き出し。

 「廃棄予定だったものを貰えることになって。コンロやシンクの下に組み込んでいます」とわださん。

 “じょう発皿”“試験管ばさみ”と、懐かしい言葉が書かれたシールははがさずそのままに。カトラリーやゴミ袋などを収納している。

 キッチンとダイニングテーブルが少し離れているため盛りつけや配膳がしづらい、とわださんが小宮山さんに頼んでつくってもらったのが、作業台。つっかえ棒で支えることで天板がエクステンションでき、米、調味料のストック、鍋類、掃除道具も収納できる、という優れもの。

 友人がよくごはんを食べにくる、というふたりらしく、6人は座れる大きなダイニングテーブルも小宮山さん作。「足場板を天板にして、墨汁とコーヒーで塗ったんです」。まさかの墨汁とコーヒー! 普通の塗料にはない味わいのある色になるとか。

 工夫好きなふたりのキッチンは、“こうするといいかも?”が詰まった実験室のような場所だった。

●紹介してくれたのは……
小宮山裕介(こみやま ゆうすけ)さん
わだりかさん

夫妻で写真事務所「モビール」経営。雑誌、書籍、広告などで活動中。写真関連の雑貨ブランド「nadowa」の企画・販売をするとともに、撮影スタジオ・ギャラリー「Le Tiroir」の運営も。

居心地がいい部屋は
キッチンが生きている

2018.12.12(水)
Text=Tomoko Yanagisawa
Photographs=Ayumi Yamamoto

CREA 2019年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

居心地のいい部屋。

CREA 2019年1月号

巣ごもりしたくなる、幸せ
居心地のいい部屋。

定価780円

好みや条件は人ぞれぞれでも、「このままずっとこもりたい……」と思えるような部屋だと、結構幸せな気がします。キーワードは「居心地のいい部屋」。お宅拝見からアイテム選びまで、新しい年を気持ちのいい部屋で迎えるヒントが詰まった1冊です。