ハワイの女性にとって、「あこがれの一生もの」というと、ニイハウ島のひとつのビーチにしか流れつかない貝で作ったニイハウシェルのレイ、リリオカラニ王女も愛したハワイアンジュエリー、そして、それらを入れるコアで作られたジュエリーボックス。どれもがハワイで生まれ、ずっと愛されているものです。

 ジュエリーは女性にとって永遠のもの、だからこそ、それを入れるためのジュエリーボックスもずっと大切にできるものを手に入れたい――。そう思い、いろいろと探すうちに一目惚れしたのが、チャールズ・ドミンゲスさんの作品です。

 使いやすく、細部にこだわるデザインで多くの作品を発表し続けるチャールズさん。その魅力はどこから生まれてくるのかを知りたくて、ホノルルにある工房をお訪ねしてみました。

チョップスティック・ボックス(箸箱)の愛称がついた、デレラスで一番小さいサイズのジュエリーボックス

 オアフ島の西側・ワイアナエ出身の根っからのロコボーイ。高校時代に受けた授業で木工製作に出会い、そのときの先生だったMr.Goyaは、チャールズさんがあまりにも熱心だったため、彼のために木工クラスを増やしたほど。ハワイ特有のコアやミロをはじめ、あらゆる木の特性を生かす才能は、感受性の強い高校生の頃に受けた授業のたまものと、チャールズさんはいまでもMr.Goyaのことを一生の師と仰いでいます。

 チャールズさんの才能を次にのばしてくれたのが、19歳から研修生として参加したマーティン&マッカーサーでの修業。ここでは小さなものから家具までを製作する過程を学び、さらにはあらゆる地元アーティストの作品を販売するノヘアギャラリーで営業職を9年経験します。このときに知り合ったのが、デレラス・ウッドワークスのリカルドさんが作るコアのジュエリーボックスです。

町工場がたくさん集まるローカルなエリアにあるデレラス

 80年代から、最も美しいジュエリーボックスを作る職人として名を馳せたリカルドさんの小さな逸品を、世界の人たちに知ってもらうのがとても幸せだった、と振り返るチャールズさん。営業職に従事しながらも常に自分の作品を作り続けていたチャールズさんとリカルドさんは、親交を深めました。そして2004年、リカルドさんが引退を決めたときに、自分の工場をぜひチャールズさんに譲りたいと申し出て、チャールズさんは1年悩んだのちに一大決心で引き受けます。

「ハワイで一番美しいと言われる作品を作る、リカルドさんの跡を引き受けることは、本当に人生で大きな節目になりました」

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2012.10.09(火)