泥沼化した人間関係も見て取れる
モダンなデザインの葬祭殿

 王家の谷と岩山を挟んで背中合わせにあるのが、壮麗な建築美のハトシェプスト女王葬祭殿。ここは女性初のファラオとなったハトシェプスト女王の葬儀のために造営されたものだ。

 ただ、彼女は幼きトトメス3世の裏をかいた形で王位に就いたため、人間関係は泥沼化。

 長年虐げられたトトメス3世は、ハトシェプスト女王の死後、恨みを晴らそうと葬祭殿の像を破壊し、壁画や名前を削り取る(死者にとっては大ダメージ)という暴挙に出たと、言われている。

 おとなげない行為を後世に残してしまったが、ファラオといえども人間なのだと、どこか親近感も湧いてくる。

2018.11.22(木)
文・撮影=古関千恵子