■ホアン・シー

ホアン・シー

台北市に生まれる。ニューヨーク大学在学中にホウ・シャオシェン監督の『憂鬱な楽園』にインターンとして参加。『台北暮色』が監督デビュー作品となる。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンを継ぐ注目の女性監督。

ホウ監督から受けた影響は
この作品のとても深いところに

 台北を舞台にしていますが、台北を舞台にした映画と得意とするエドワード・ヤン監督を意識したわけではありません。

 実は台北を選んだのは利便性からです。1本目の作品ですから予算にも限りがありました。まず自分に最も近い、目の前の都市で撮影しようと自然と考えました。

 しかし実は私も台北をそこまで熟知していませんでした。脚本作りの際にいろいろな場所を歩いて巡り、こんな場所もある、こんなところもあると、多くの発見がありました。

 私も今回の制作を通して、ゆっくり台北という都市を知ることができました。とても興味深かったです。

 私は20代の若い時期と中年になってからの2度、ホウ・シャオシェン監督と一緒に仕事をしました。20代の頃は、監督が現場で何をしているかは、全くわかりませんでした。インターンで『憂鬱な楽園』の現場に入った時です。

 そして、2度目の『黒衣の刺客』の現場でようやく、監督が何をしているかが少しだけ分かりました。監督は、役者に大きな隙間を与え、現場の雰囲気作りをし、結果として芝居が完成するのです。

 ホウ・シャオシェン監督から、今回『台北暮色』に対して何か具体的なアドバイスをもらったことはほとんどありません。編集段階で「もう少し考えた方が良い」と言われ、2回目はOKをもらう、終始このような感じでした。

 しかし、私は幼い頃から、父の友人である監督とずっと接してきましたから、監督から受けた影響はこの作品のとても深いところにあると思います。

『台北暮色』

監督・脚本 ホアン・シー
製作総指揮 ホウ・シャオシェン
出演 リマ・ジタン、クー・ユールン、ホアン・ユエン他
配給 A PEOPLE CINEMA
●2018年11月24日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
http://apeople.world/taipeiboshoku/

2018.11.03(土)
文=CREA WEB編集室