「奇跡の91歳」菅原都々子に驚嘆!

■「愛の奇跡」ロザンナ×山内惠介

 ロザンナが昨年日本に帰化したということで、てっきり「ヒデが生まれたこの地で愛を貫きたい」というラブな話が出てくるのかと思いきや「イタリアのままだと自分が死んだ時、息子たちの手続きが面倒になるから」という生々しい理由だった。それを「ステキなエピソードですね」と美談で締めくくる木村佳乃の力業よ……。

 歌唱はヒデのパートを山内惠介が担当。彼は以前ヘドバとダビデの「ナオミの夢」でもダビデの代役として駆り出されていた覚えが。柔軟に甘い声で対応する山内惠介の適応力はもっと評価されていい。

■「雨がやんだら」水森かおり

 4月27日にお亡くなりになった朝丘雪路の大ヒット曲をご当地ソングの女王・水森かおりがしっとりと歌いあげる。彼女が出るといつスルスルと衣装が伸びるのか身構えてしまうが、可憐な歌声ですよね。

■「小樽のひとよ」三山ひろし×鶴岡雅義と東京ロマンチカ

 鶴岡雅義と東京ロマンチカの大ヒット曲。去年お亡くなりになった三條正人のボーカルを三山ひろしが担当。この人、キャラもいいがムード歌謡がよく似合う甘い声。けん玉がなくてもじゅうぶん素晴らしい。いなかっぺ大将に似たルックスもかわいくてグー。

■「連絡船の歌」菅原都々子

 奇跡の91歳! トークでは少したどたどしくて心配だったが、歌うと10歳若返り、20歳若返り……とグングン精気を増していき、歌い終わって微笑むその顔は可憐な少女の様だった。ずっと横に立って笑顔でサポートしていた氷川きよし、ナイスジェントルマン。

■「港町ブルース」森進一

 思い出のメロディー第1回で歌った記念すべき一曲であり、東日本大震災復興支援の大切な歌でもある。昭和44年当時の映像を見てサブちゃんに「あれ森君? 違う人じゃない?」といじられ、苦笑しながら一緒に「ねぇ!?」と首をひねるオチャメな彼。いやもう昔はホントオトコマエだったんですね。

■「函館の女」北島三郎

 氷川きよし、三山ひろし、北山たけし、山内惠介という演歌界をしょって立つ若手4人衆と一緒に。一番大きく鼻穴と口を開けて歌っていた北島三郎に「まだまだ坊主たちには負けん」という意地が感じられた。サブちゃんかっけー!

■「ゆけゆけ飛雄馬」石丸幹二 

 昭和44年、甲子園のスターだった「コーちゃん」こと太田幸司さんが登場。伊吹吾郎を薄くしたようなイケメンであった。彼がリクエストしたこの「巨人の星」の主題歌を、顔良し声良しスタイル良しの石丸幹二と早稲田大学グリークラブの皆さんで歌唱。

 OBだった高瀬アナも参加。後で「引き受けなければよかったと思った」と恐縮しきりだったそうなのだが、大丈夫だよ高瀬アナ。どこにいたかわかりにくいほど、グリークラブに溶け込んでいたから!

■「三百六十五歩のマーチ」水前寺清子

 澄みきった空のような笑顔で「ゥワンツーゥワンツー!」と客席に向かって元気に歌いかけるチータ。歌の内容と歌い手の魅力が完全合致したら凄まじいパワーが生まれるという証拠。離れて暮らす姉から「水前寺清子よかった」とメッセが届いて感動倍増。

■「夜明けのスキャット」由紀さおり

 白いフワフワとした衣装がお似合いの由紀さおり。ちょっと高音が苦しそうではあったが、歌い終わった後のホッとしたスマイルで全てが癒された。彼女はいるだけでその場がロイヤルになる上品さがある。

■「ヨイトマケの唄」美輪明宏

 VTR出演。美輪明宏が持つ華やかな色を一切排し、真っ黒な衣装で臨むこの「ヨイトマケ」では毎回、歌は一つのドラマであるということを痛感させられる。彼一人が歌っているが、他に幾人の存在を思わせることか。届けたい願いがこもっている歌唱の究極の形。

 今回は長崎での撮影。親子の愛、原爆を語った後の彼の歌声は一層深く重く響いた。

■「童謡メドレー」由紀さおり&安田祥子と出演者のみなさん

 今年は童謡誕生100周年なのだとか。安田祥子さんは何オクターブくらい出るのだろうか……。子ども以上にはりきって歌っていた木村佳乃がとても微笑ましい。

2018.10.17(水)
文=田中 稲
写真=文藝春秋