「最後の1ページまで切ない」と絶賛された森沢明夫の恋愛小説を映画化した『きらきら眼鏡』で、大切な人の喪失から立ち直ろうとする主人公に抜擢された金井浩人。池脇千鶴、安藤政信らを相手に、ピュアで実直な演技を魅せた彼の俳優としての想いは?

大林宣彦監督作のスタッフから
キャストに抜擢

――幼い頃の夢を教えてください。

 小学校の頃はサッカーをやっていたので、卒業文集などではサッカー選手になりたいと書いていたことを覚えています。その後は、父親の影響もあって、中学ぐらいから映画好きになり、TVで放送される作品以外にも、レンタルでDVDをよく借りていました。そのうちに、俳優への憧れみたいなものが出てきたと思います。

――その後、『この空の花 長岡花火物語』で俳優デビューされる経緯を教えてください。

 漠然と、高校を卒業したら大学に行こうと思っていたのですが、あるとき「自分の中で、役者をやりたい気持ちがある」ことを父親に話したんです。そのとき、父親が「それなら大学に行く必要はない」と言ってくれて、まずは東京行きの資金集めとして、地元でバイトを始めたんです。そんなときに、大林宣彦監督が地元で『この空の花 長岡花火物語』を撮ることを知って、そのスタッフに応募したんです。

――『この空の花』では、教頭先生を演じられたベンガルさんの息子役を演じられたわけですが……。

 じつはスタッフとして参加する日に、ほかのバイトがあって行くことができなかったんです。それで、後日「映画に俳優として出てみませんか?」という連絡があって、出演することになったんです。とても運が良かったと思いますが、この映画に参加させてもらったことで、役者をやりたい気持ちがさらに強くなりました。それで20歳のときに、東京に出てきました。

2018.09.07(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘