――劇団になって初めての舞台「MAKOTO」について教えてください。どんなお芝居ですか?

 東京にはたくさんの、孤独を抱えた人が生きている。東京オリンピックが決まって、新国立競技場ができるために団地を立ち退かされた老人たちの孤独はちゃんとみんな見られているんだろうか? そういうところに目が向いている話です。

 西池袋とか、明治神宮前とか、東京のいろんな場所が出てくるんですけど、そこは長塚圭史が実際に住んだことがある土地で、子供の頃からの思い出があるんです。東京の街の変遷を見てきた長塚圭史がいろんな経験を積み上げて来たことが、時節にヒットしていると思います。

――「MAKOTO」での中山さんの役どころは?

 説明が難しいんですよね……。僕と坂本慶介くんの役が同じ警備員です。主役の(中村)まことさんが思い悩んでいろんな場所に行くんですけど、坂本くんは心配してずっとついて行くんです。

 僕は要所要所で突然現れて、まことさんの行く末を修正するのか何なのか……。ある時は優しくしたり、ある時は乱暴だったり。そんな風にひょいっと現れて、無茶苦茶やって去っていくみたいなことを繰り返していくうちに、僕が一体何だったのか最後にはわかるんじゃないかな。

――「MAKOTO」の見どころを教えてください。

 すごく簡単なお芝居じゃないことは確かなんですけど、でも観るからには自分自身もある程度考えたりするのが楽しいんじゃないかと思える人が観れば、そんなに難しいばっかりの芝居じゃないし、ちょうどよく帰れるんじゃないかと、僕は思ってるんですけど(笑)。


 演劇人らしくないことを好み、しかし、仲間の演劇人をとても大切にしている中山祐一朗さん。劇団化した「阿佐ヶ谷スパイダース」の変化も楽しみですが、彼が劇団で、またそれ以外で、どんな活躍をしていくのかもとても楽しみです。

阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」

主宰・長塚圭史が2016年の「はたらくおとこ」上演中に草案し、2年間温めた“失意の男”のドラマ。新生阿佐ヶ谷スパイダースの意欲作・第1弾!

<あらすじ>
医療事故で妻を失った自称漫画家。失意の漫画家は妻との思い出を燃やしてゆく。すると思い出は消えるが、代わりに強大な力が漲り怪事件を起こしてゆく。漫画家の言う通り、その悲しみは日本のエネルギーに代わるのか。

●東京公演(全14ステージ)
会期 公演中~2018年8月20日(月)
会場 吉祥寺シアター
●大阪公演(全3ステージ)
会期 2018年8月25日(土)~8月26日(月)
会場 近鉄アート館
●神奈川公演(全4ステージ)
会期 2018年9月7日(金)~9月9日(日)
会場 KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ
※他、新潟公演、松本公演
企画製作・主催 阿佐ヶ谷スパイダース
http://asagayaspiders.com/

中山祐一朗(なかやま ゆういちろう)

1970年9月9日生まれ・岐阜県出身。98年、演劇プロデュース・ユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」第3回公演に参加。以降、メンバーとして全公演に関わる。その他、数多くの舞台に出演。映像では「深夜食堂」シリーズや「サラリーマンNEO」「黒い十人の女」「グーグーだって猫である 2」など話題作で印象的な役割を担う。テレビ東京系 特撮テレビドラマ「魔法×戦士 マジョマジョピュアーズ」では愛乃モモカのパパ役を好演中。

【取材協力】
お好み焼 だいこんまん

所在地 東京都世田谷区北沢2丁目14-3 下北沢KDビル1F
電話番号 03-3795-0271
営業時間 日〜水曜 11:00~翌1:00(0:00 L.O.)、木〜土曜・祝前日 11:00~翌5:00(4:00 L.O.)
定休日 無休

2018.08.17(金)
構成=FUNFUN
文=濱野奈美子
撮影=佐藤 亘