若いのに肝が据わってるなと
思いました

――ヒョンシクさんは役者として進境著しいですね。

チャン・ドンゴン ヒョンシクさんのシーンで印象的だった場面があります。彼が弁護士の面接に飛び込んで来て、法律を暗唱するシーンがあるんですが、セリフが難しくて何度もNGになりました。こういう時は、ベテラン俳優でも自分のせいでNGになると自信をなくてしまい、それが演技にも表れてしまうんです。彼は俳優としては新人なので、萎縮してしまうのではと心配しましたが、ヒョンシクさんは気後れせず堂々としていましたね。“若いのに肝が据わってるな”と思いました。共演者やスタッフに謝りながらも、最後は見事にやり遂げたんですよ。年齢に比べて度胸がありますし、NGを出してもスタッフや共演者がみんなで応援したくなる雰囲気を持ってます。その力には驚いたし、とても印象的でした。

パク・ヒョンシク いえいえ、実際は動揺が顔に出ないだけで冷や汗をかいてました。僕のために準備してくれていたスタッフや共演者に、本当に申し訳ないと思っていました。でもそこで僕が気後れしたら周りも気を遣うし、状況が悪くなるだけなのでどうにか乗り切ったんです。ありがたいことに監督や先輩方が“大丈夫だよ”と声をかけてくれて、そのおかげで気が楽になりやり通せたんです。現場の雰囲気も重要ですよね。

2018.08.02(木)
文=石津文子