旅の途中にこんな場所を
訪れてみるのも楽しいもの

最初の写真の数日後、玄関左のお花は新しいものに代えられ、ガレージの入口上部にはカラフルな三角旗の飾り付けが。ほかにも、子どもたちが置いて行ったお供え物(!?)がたくさん。玄関マットの文字は少しかすれてしまっているが、「NO CATS(猫お断り)」と書かれている。

　始まったのは今年の初めごろのようですが、4月になって地元メディアで紹介されてからは、市内各地からペレスさんの家を見たいという子どもたちが訪れるようになりました。

　雨上がりには家が大丈夫だったか心配になって見に来る子、保育園帰りにお母さんと来てひとしきり遊んでいく子、休みの日に散歩がてらやってくる親子連れ……と、ちょっとした巡礼スポットです。

ペレスさんちの前には、子どもや親子連れの姿が絶えない。キノコの絵が描かれているのは、後になって付け加えられた小人の家。ただし、人気があるのはやはりペレスさんちの方。壁の上部に貼られた通り名のプレートも誰かの手作り。「CARRER DEL RATOLI PEREZ」(カタルーニャ語で、ねずみのペレスさん通り)と書かれている。

　誰が管理しているわけでもないのに、壊されたり撤去されたりすることもなく、ペレスさんの家は今も増改築を続けています。住宅地の目立たない裏通りにある小さな小さなドアは、きっと子どもたちの夢へと続くドアなのかもしれません。

　一般的な観光スポットでは決してありませんが、旅の途中にこんな場所を訪れてみるのも楽しいもの。バルセロナ滞在中に時間の余裕があれば、ちょっとした宝探し気分でペレスさんちを探し当ててみてはいかがでしょうか。

Ratoncito Pérez
(ラトンシト・ペレス)

所在地　Taquígraf Garriga通りの25番地あたり
アクセス　地下鉄3号線Les Corts駅から徒歩5分程度

坪田みゆき(つぼたみゆき)

バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/

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文・撮影＝坪田みゆき