美しく生まれ変わった古都シラクーサ、話題のリストランテ

シラクーサの旧市街オルティージャ島にあるアレトゥーザの泉。古代紙の材料となったパピルスが自生する

 シチリア島東岸のシラクーサは、古代ギリシャ人の植民地として繁栄の時代を築いた歴史ある都市。かのアルキメデスの出身地でもあり、古代ギリシャ劇場やアポロ神殿などの遺跡群、シチリアン・バロックの瀟洒な建物が並ぶ旧市街オルティージャ島など、貴重な観光資源をもちながら、なかなか整備が進まずに、3000年前をピークに衰退の一途をたどる……とでもいえそうな、歴史と同時に侘び寂びすら感じさせるような街でした。

左:旧市街オルティージャ島の路地にあるアンティークショップ
右:観光地として再建されつつも、南イタリアらしい素朴な雰囲気が漂う

 ――が、2005年に「シラクーサとパンタリカ岸壁墓地遺跡」として、世界遺産に登録されて以来、シチリア州もやる気を出したのか(!?)あちこちが整備され、今、再び息を吹き返しています。シンボルであるドゥオモも美しく修復され、南イタリアの太陽を受けて輝かんばかり。廃墟同然だった旧市街の街並みも、歴史ある趣を残しつつ、おしゃれなショップやリストランテへ変貌を遂げています。旅行者も増え、「東岸と言えばタオルミーナ」だったシチリア島の旅行動線が変わりそうな勢いです。

左:華やかなドゥオモ前の広場は、映画『マレーナ』のロケ地としても知られる
右:趣のある路地にテーブルを並べたカフェやリストランテも多数出現

 さて、そんな勢いを増すシラクーサ。ドゥオモ裏の繁華な路地の一角に、話題のリストランテがあります。それが「オイノス」。現在、「シラクーサのリストランテと言えばここ」と言われるほど評判が高く、シチリア島内のラグジュアリーなホテル&リストランテを紹介する雑誌『Le Soste di Ulisse』にも、ラグーザのミシュラン2ツ星「ドゥオモ」、リカタの2ツ星「ラ・マディア」、パレルモの1ツ星「バイ・バイ・ブルース」などと並んで登場しています。さらにこの「オイノス」では、2012年4月より、新シェフを投入。しかもそれがなんと、日本人シェフなのです。

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