10月10日からロンドンのテート・モダンで 「ウィリアム・クライン+森山大道」展が開催される。この展覧会は今なお絶大な人気を誇るふたりの写真家の影響関係を主なテーマにしている。

 クラインは1928年生まれ。56年に発表した写真集「ニューヨーク」は60年代以降の現代写真に決定的な影響を与えた一冊。クラインはアレ(ネガやプリントの粒子の荒れ)やボケ、ブレといった、それまでの写真表現ではタブーとされていた手法を大胆に駆使。カオティックで猥雑でありながらエネルギーに満ちたニューヨークのイメージを切り取ってみせた。また彼は「ヴォーグ」のファッションカメラマンとしても活躍し、映画作品も撮るなど幅広い才能を開花させた。

William Klein, Elsa Maxwell’s Toy ball at the Waldorf, New York,  1955 (C) William Klein

 クラインよりも10歳若い森山大道は「ニューヨーク」に衝撃を受けたひとりだ。クラインにおいては多彩な表現技法のひとつであった「アレ、ボケ、ブレ」の美学を写真の本質に関わる問題として受けとめた森山は、そこから「写真とは何か?」という問いをラディカルに突き詰めていった。72年の写真集「写真よさようなら」はそうした森山の試みの到達点であり、この写真集にはもはや何が写っているのか判然としないところまで解体された「写真」が収められている。

Daido Moriyama, Stray Dog, Misawa, 1971 (C) Daido Moriyama

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2012.08.13(月)