選ぶ決め手は今、手厚いご配慮

 30年前は“優れた化粧品”なんて10品に1品くらいしかなかった。10年前も、せいぜい3品に1品。でもそれからの10年で化粧品全般は明らかなレベルアップを果たした。正直言って、粗悪品を探し出す方がずっと難しいくらいに。全体のクオリティが上がった上に、前例がないほど新製品の数が多く、ブランドの数も過去最高。正直、良いものと悪いものを分けるのが、とんでもなく難しい時代になった。

 逆に言えば、それなりのブランドがつくったものならば、どれを選ぼうと基本的に失敗なし。そこそこ満足はできてしまう。だから“選ぶ決め手”としてあらたにクローズアップされてきたのが、“手厚い配慮”とも言うべき、付帯要素なんである。

a 目元のくすみをカバーするベースとハイライトが出色。
コフレドール ビューティフェイスシャドウ 全4種(写真は02)
¥3360/カネボウ化粧品

b ありそうでなかったリップライナーとブラシがWエンドに。
ルナソル リップシャドウライナーN 全4色(写真は02、04)
¥3150/カネボウ化粧品(8/17発売)

c 濃淡2色のカラー、2種のミラー、トゥイザーとブラシ。眉を整える一式をセット。
ブローキット 全2色(写真は01)
¥5250/ボビイ ブラウン(8/3発売)

 たとえばだけれど、アイシャドウの上にのせられているフィルム。あそこに、アクセントカラーやベースカラーといった色の役割が記載されていることは珍しくないが、その内容がさらに詳しくなって、目のイラストまで入り、どこにどのくらい、どれをどれで塗ったらいいのかが一目瞭然という、詳細な解説つきフィルムを添える手厚いご配慮コスメも登場してきている。

 このところ毎シーズン、目もとの美貌を際立たせる傑作アイシャドウを提案し続けているコフレドールは他にはないユニークなテクニックをそのままカラーにしていることでも評判だけれど、その新作、ビューティフェイスシャドウについた解説フィルムの詳しさは圧巻。しかも自分で無くしておいて「フィルムってすぐ無くなっちゃうのよねー」という文句に応えて、そのフィルムは容器に片端が埋め込まれ、着脱が自由自在、絶対になくならないよう配慮されている。

 これ、一見何気ないことのように見えて、じつは本当に有難い配慮。こういうものが欲しかったの! と思わず拍手したくなる。しかもこのアイシャドウの仕上がり、アイベースや下まぶた用ハイライターも組み込まれていて、かなり特殊な設計。その通りに塗ると、本当にハッとする美人目ができあがるものの、逆にこの“無くならないフィルム”がないとうまく塗れないつくり。配慮あってこそ実現する高度なつくりであることも忘れちゃいけない。

 一方、アイブロウでしみじみ嬉しい手厚い配慮を見せてくれるのが、ボビイ ブラウンのブローキット。これが小さな毛抜きがセットされているだけでなく、じつは“拡大鏡”つき。ちょっと感動なのは、拡大鏡と普通の鏡が2枚ついていて、全体の形を見る時は普通の鏡、1本1本を描く時は拡大鏡と、鏡の使い分けができる。なんという世話焼きなのだろう。それも世界一、使い手の身になれるアーチスト、ボビイ ブラウンのこだわりなのだ。

 もう一品、ルナソルのリップライナーが有難い。反対側に本気の優秀紅筆をつけてくれたのだ。正直、これで3150円は超お値打ち。あれば使うけど、無いと無いですませてしまう。それが紅筆ってものだけに、こういうところにつけてもらうとリップメイクのクオリティが50点くらい一気に上がる。

 さらに言えば、リップライナーも意外に厄介で難しく失敗も多いが、紅筆を使ってていねいに仕上げてこそ、リップライナーも使った効果が表れる。この“世話好き”がメイクの出来をとことん高めてくれるのだ。女は甘やかされて伸びる生き物。こういう“世話焼き力”を選ぶ決め手にしてもいいのじゃないか。人よりキレイになるために。

Column

美容ジャーナリスト 齋藤 薫の美脳トレーニング

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2012.07.23(月)

CREA 2012年8月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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