瀬底島
ありのままの沖縄を色濃く残す土地神さまに守られた孤島

 沖縄の島と聞けば、多くの人は石垣や宮古など、遠くの島を思い浮かべるはず。

 だが本島周辺には、橋を渡って訪れることのできる素敵な島が多数存在する。

 島の恵みに満ちた知られざる楽園を目指し、いざ最高のドライブへ!

昔ながらの風景を愛で穏やかな時に心をほどく

 瀬底島(せぞこじま)が全長762メートルの瀬底大橋により、本島の本部半島と結ばれたのは1985年。だが、橋は今でも、大きな台風が来れば封鎖されることがある。そんな事情もあってか、本島を間近にして、この小島には驚くほど、古風な沖縄の景色と手つかずの自然が残されているのだ。

 周囲約7キロの島は珊瑚礁に取り巻かれ、沿岸は極楽ビーチ天国。スノーホワイトに輝く珊瑚砂の浜が、澄み渡る海に重なり、沿岸を縁取る。「この海の色を“瀬底ブルー”と呼ぶ人も。珊瑚礁と熱帯魚が息づく海の中の景色は最高ですよ。プライベートサイズの秘密のビーチを探すのも、瀬底の楽しみです」と、ホテル「FOUR ROOMS」のオーナーである渡邊修一さんは語る。

 内陸では亜熱帯の樹木が伸びやかに茂り、さえずる野鳥も多い。サトウキビ畑を抜け、集落に分け入ると、防風林であるフクギの並木道が通り、石垣が続く。そこには、赤瓦に白い珊瑚石の石壁の家が立ち、ブーゲンビリアにハイビスカスが咲く。土間から流れる話、庭先に放たれたヤギの鳴き声。沖縄の原風景の中を歩いているようだ。

 ひっそりとして、開け放たれた離島らしい趣に富む瀬底。地元で「沖縄で一番、きれい」と言われる夕日を見てから、島を離れたい。

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photo:Tadashi Shirasawa / Takashi Shimizu
text:Masami Uwabo / CREA Traveller