小さくなっても、もっともっとと際限がない毛穴の悩み

 約20年前、“毛穴ケア”がスポットを浴びた時の平均的な毛穴の大きさと、今の毛穴の大きさはだいぶ違うはず。毛穴は目に見えて小さくなったはずが、小さくなっても、それに見慣れれば、また大きく見える。理想はあくまで、雑誌のモデル写真のCg処理された完璧な肌。やっぱり毛穴の見えない肌なのだ。

 だから、毛穴ケアも知らないうちにちゃんと進化していて、相変わらずの角栓取りや、オイルコントロールによって毛穴を引きしめるような、昔ながらの発想はなりを潜め、今やまるで“整形”にも匹敵するような、本気のアプローチで毛穴を消し去る毛穴ケアが、ここへ来てまた目白押しなのである。

(1) 肌ストレスを誘発し、ざらつきを感じるプチコメドを発生させる不飽和脂肪酸をカットする美容液。クレ・ド・ポー ボーテ コレクチュールエサンシル[医薬部外品] 170ml ¥8925/資生堂

(2) アーティチョーク葉エキスで、毛穴エイジングの原因となるタンパク質NF-KBの活性化を抑制。アーティローション 150ml ¥4935/アンサージュ 

(3) 皮脂の分泌量に着目。つけた瞬間毛穴を小さく見せつつ、継続使用で皮脂分泌量を抑制する。リファイニング ソリューションズ コレクティング セラム 29g ¥5250/クリニーク

(4) 極細ブラシで毛穴の汚れをオフ。ペンのお尻をプッシュすれば1回分の適量洗顔料がブラシ先から出てくる構造。DEW スぺリア ブラッシュクレンズペン 6ml ¥3150/カネボウ化粧品

 まず、毛穴ものでは定評あるクリニークの新作は、“2週間使い続ければ58%も毛穴が縮小する”というすごいデータを引っ提げてデビュー。皮脂腺をコントロールしながら、毛穴の開口部と毛穴を支えている細胞を奥の方から引きしめていく、スキのない働きかけ。つけたその場で見えなくなるのは、シリコンポリマーの働きだけれど、日に日に毛穴が小さくなっていくのがわかる手応えは快感。ちなみに同時発売した毛穴コンシーラーを組み合わせると、毛穴は完全に消えると言っていい。

 逆に意外だったのは、クレ・ド・ポー ボーテが本気の“毛穴もの”を開発したこと。ひと言で言うと、肌磨き液。見た目の美しさにこだわると、やっぱり毛穴はどんなに小さくても許せない、というわけだ。大人の肌には唐突に現れる意味不明のプチプチとか、なぜできたのかわからない凹凸までを一緒にするする磨いて、つるつるの肌にしてしまうという美容液なのだ。天下のクレポーがつくった毛穴ケアは、やっぱり一度試さなきゃ!

 そして化粧水の形をとりながらも、“毛穴を根絶する”働きをもったのが、山田製薬という100年の歴史をもつ製薬会社がつくった、毛穴エイジングケア。じつは毛穴が開いてしまう根本原因は、皮脂でもたるみでもなく、“NF-KB”という“悪玉タンパク質”が増殖してしまうせいだったという事実に本気で取り組み、そのタンパク質の働きを阻止するアーティチョーク由来の成分をナノカプセルで送り届けることに成功した。できればこれを他の毛穴ケアと組み合わせてほしい。根本治療として。

 もう一品、毛穴に悩む人が全員使うべきは、カネボウのDEW スぺリアがつくった、“毛穴のおそうじ”、ブラシ洗顔。なんとこのブラシ、毛穴の10分の1の超極細ブラシ。毛穴から汚れを引き出す洗浄料や引きしめ効果とのコンビで、毛穴が本当に見えなくなる仕上がり。なるほど、こうすれば、毛穴は消えるのだというアイデア満載の一本。「毛穴ケアなんてどうせ効かない」と思っていた人、驚いたはずである。今はこんなに進んでる。毛穴整形ケアとも呼びたいこれらは、使わなきゃ損。

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2012.06.25(月)

CREA 2012年7月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

女が会社を辞めるとき

CREA 2012年7月号

働き方は自分でデザインする 一生ものの仕事術!
女が会社を辞めるとき

特別定価 650円(税込)