7月27日の開幕が間近となったロンドン・オリンピック。このタイミングに合わせてロンドンではさまざまな文化イベントが開催される。スポーツと文化を連動させ、世界に向けてロンドンという都市の魅力を最大限にアピールしようとしているのだ。アート関係でも新スペースのオープン、大規模なパブリックアートの展示など楽しみな企画がいくつも用意されている。

 ケンジントン・ガーデン内にあるサーペンタイン・ギャラリーは毎年、有名建築家を起用した期間限定のサマー・パヴィリオンを建てることで有名だ。今年はスイスの建築家ヘルツォーク&ド・ムーロンと中国人アーティストのアイ・ウェイウェイによるパヴィリオンが6月1日にオープンする。ヘルツォーク&ド・ムーロンとアイ・ウェイウェイは、2008年北京オリンピックのナショナル・スタジアム(鳥の巣)をデザインしたチーム。ロンドン・オリンピックに合わせて、彼らのコラボレーションが再び実現することになった。

今年のサーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン。空から見た完成予想図。
Serpentine Gallery Pavilion 2012
Designed by Herzog & de Meuron & Ai Weiwei
(C) 2012, by Herzog & de Meuron and Ai Weiwei

 今回のパヴィリオンは敷地を円形に掘り下げて、遺跡の発掘現場のようなスペースをつくり、その上に丸い屋根をかけるというもの。10月14日までの期間中は、「パーク・ナイト」と銘打ったアーティスト・トークやフィルム上映などのイベント会場としても利用される。

 またサーペンタイン・ギャラリーは今年の夏、同じケンジントン・ガーデン内にある元弾薬庫だった建物を展示室に改修した新スペース「サックラー・ギャラリー」をオープンさせる予定。こちらのファサードを担当したのは建築家のザハ・ハディド。クラシックな建物とハディドの前衛的な建築の融合が新鮮だ。

 テート・モダンはオリンピック開幕直前の7月18日、地下に新スペース「ザ・タンク」をオープンさせる。かつて建物が発電所として使われていた頃の石油タンク室を転用したもので、ライブ・アートやパフォーマンス、インスタレーションの専用スペースになる。

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