生活空間のフロアが違うという冒険感

扉を開けてまずはリビングルーム。手前の坪庭には樹木が一本植わっていて、花を咲かせたり、実をつけたりと季節を教えてくれる。

 各客室は、連なってはいるものの、戸別仕様。鍵を開けると坪庭的前庭があり、最初にあるのがリビングルームだ。この客室、間口は狭いが奥へと広がる京都の町屋を縦にしたとイメージすると分かりやすいかも。ルーフテラスと中2階のある3階建ての部屋なのだ。

中国ティーセットが用意されている、中2階の小部屋。毎朝、3階の寝室から下りてきてコーヒーをこの部屋にて淹れる。面倒といえば面倒だが、この移動がなんだか楽しい。

 1階がリビング、中2階が大型TVやコーヒーマシン、ミニバーなどのあるティールーム。2階が寝室とウォーキングクローゼットで3階がバスルームとなる。初日は、忘れ物をしたりで、階段を上がったり下りたりのエクササイズ要らずだったが、人間、慣れるというのは素晴らしい。フロアが分割されているのが、なかなか楽しくなってくる。

過ごす時間のいちばん長いのが、当然、この寝室。窓も大きく採られていて、決して広々とはしていないけれど、快適。

 もっとも、かつては各フロアに3、4家族が暮らしていたとか、いまよりも天井の高さは低かったなどと、想像を超える劣悪な環境で使われていた建物なのだが……いまでは、信じられないほどモダンで快適にしつらえてある。

モダンなバスルームは使い勝手がよく、けっこう広い。グレーのバスローブにハイセンス志向のカペラらしさを感じる。

 ホテルの客室は、何泊かするとマイホームのような居心地がしてくる。でも「上海カペラ」のこの珍しいつくりは、“毎日が探検”的な新鮮さを失わない。もちろん階段を上がったり下りたりと、ときには“チッ”と思いもするのだが……。フロアごとの個別感が独特で、これを楽しまなきゃここに泊まる意味がないと思った。

左:花のセンスもカペラならではのシンプルでお洒落。ワッフル地のタオルも用意されていて、ゲストの心地よさの追求に抜かりない。
右:毎晩セットされる、プティフール4種。これ、ガニェールのスイーツですからね! なんとも贅沢。

2018.05.15(火)
文・撮影=大沢さつき