午後、まどろみの後自然界の掟に触れるサファリを

まだ日の高い昼下がり。プールの向こうのサバンナでは、象が牙に鼻をかけて休んでいる。こちらはカクテルを飲みながらの読書。早朝サファリのためか、1ページも読めずにうつらうつら

 ほかのキャンプ同様、朝のサファリはとても早い。で、戻ってブランチ食べて昼寝して、午後のサファリにまた出かけるという具合。サファリの最適時間が行動基準だ。

 午後は多少のんびりムード。日暮れに近いほど大物が現れるので、ガツガツしない。私たち同様、昼寝を終えて水場にやって来る動物を見たり、沼地でカバの親子を眺めたり。ティータイムをとりつつ、バードウォッチングという楽しみもある。楽園サファリな感じです。

広場に集合。東京都2個弱分の広さの保護区で、地図も標識もないのにネ。ガイド内蔵GPSはとてつもなく優れている

 もちろん、捕食者と被食者の壮絶なバトルに遭遇することも。どちらも生命をかけての闘いで、必ずしも弱者の敗北で終わるわけではない。捕食者の追撃をかわす、インパラのクィックターンやシマウマの後ろ蹴り。草食動物だって、黙ってやられるわけじゃないのだ。

 そしてこのロッジには、もうひとつ特別な選択肢が用意されている。ムーンライト・サファリだ。日暮れとともにロッジを出発。星空の下で聞く、動物たちの遠吠えにゾクゾクし、闇にキラリと光る2つの眼にドキッとする。ジープのヘッドランプに、身を翻す動物の影。二本足で立つ肉食動物、フクロウや夜鷹などの猛禽類も闇の主役だ。息を呑むような体験は、昼のサファリでは決して味わえない。これまた凄い。

 こんなスペシャルなワイルドライフが体験できるのも、ここが特別な場所だから。クワイ・リバー・ロッジは、生命の根源的な摂理を体感できるところなのだ。

左:これがサファリの基本お茶セット。クッキーがとっても美味です。
右:サイチョウの一種は、くちばしがバナナみたいだからバナナ・バードと呼ばれている。よく似た赤いくちばしのサイチョウは、通称フライング・チリペッパー

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photo:Yuji Ono
realization & text:Satsuki Ohsawa
special thanks:Embassy of Botswana / Cathay Pacific Airways Ltd.