【WOMAN】
アートイベントの陰の立役者
ミステリアスな監視係のお仕事とは

 作品保存のためとはいえ、夏は冷房が効き過ぎ、冬もじっと座っていると凍えそう。

 美術館に行くたびに、眠くならない? ずっと同じ場所にいて退屈しない? 寒くない? と気になっていた、展示室にいる監視係の存在。本書によれば、答えはすべてNO。片隅にいるだけのように見えて、お客さまのNG行動をやんわりたしなめるのに目を光らせ、お客さまの質問にできるだけ答えられるよう美術の勉強も欠かさない。決められたローテーションに沿って席移動もするから、めったに眠くならないし、一年中、防寒対策もばっちりだ。ずっと神秘のベールに包まれていた(?)監視係の日常が垣間見られて楽しい。

 著者は、本書の舞台でもある岐阜県美術館の現役の監視係。監視係あるあるや、“わからない”絵の楽しみ方など、美術や美術館に親しむヒントがたくさん。全篇を通して、お客さまの来訪を心から歓迎している雰囲気が伝わってくる。

『ミュージアムの女』(既刊1巻) 宇佐江みつこ

岐阜県美術館のSNSに発表され、人気に。不気味さとユーモアが混じった絵を描くフランスの画家、オディロン・ルドン作品を多数所蔵している美術館だそうで、ルドン作の「蜘蛛」がモチーフになった“蜘蛛キャラクター”も作中で活躍。擬人化された猫たちとともに愛らしい。
KADOKAWA 1,200円

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Column

男と女のマンガ道

男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!

2018.02.19(月)
文=三浦天紗子

CREA 2018年2・3月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

楽しいひとり温泉。

CREA 2018年2・3月合併号

ひとりに優しい宿こそ、いい宿でした
楽しいひとり温泉。

定価780円

2017年2月号で大好評だった「ひとり温泉」特集が戻ってきました。あるスタッフはこの1年、ほかの旅取材をしていても「この近くに、ひとり温泉にいい宿はないだろうか?」とアンテナを張り巡らせていたそう。そんな日々の努力が実って、今年も、ほぼ新規の宿ばかり100軒以上ピックアップ。今年も保存版ができてしまった予感。