様々な使い方の提案で
評価が急上昇中のロングセラー

上から:スリーク フェイス N PK101 3,000円(2018/2/18発売)、アイブロウ リクイッド 全4色 3,000円/エレガンス コスメティックス

 同様に2017年、地味ながら高い評価を得たのが、エレガンスのアイブロウ リクイッド。筆ペンアイライナーのような形状ながら、薄づきで上手に描ける上に極めて持ちが良い。そして色味もとても自然。だからペンシルよりも上手に眉を描けたりする。考えてもみて欲しい。眉尻の先細り感など、リキッドの方が自然な仕上がり。眉毛1本1本の再現にふさわしいのだ。

 このエレガンスも、既存のアイブロウペンシルには定評があって、これでなければダメという声がもともと多かった。発色も色味もこだわり抜いた傑作はロングセラーとしても有名、そのエレガンスが作ったリキッドだから、最近流行のリキッドの中でもズバ抜けた出来だったということ。

 ちなみに、エレガンスは地味にすごいモノの宝庫。今春デビューのクリームチークも、何の変哲もないのに仕上がりが見事。2色組3色組などと今はユニークなチークが目白押しだが、これはまさに地味にすごい。本当の血色になる青み薄ピンクはありそうでなかった逸品だ。

左から:ニベア クリーム 56g 237円、ニベア リッチケア&カラー リップ 全4色 700円(ともに編集部調べ)/ニベア花王

 一方、アット コスメのベスコスでは既存品も脚光を浴びる。そこで毎年高い評価を得るのが花王のニベア。最近また様々な使い方の提案などで評価が高まっていたが、スーパーロングセラーといえるクリームが昨年“大賞”になって、まさに地味にすごすぎる製品として、クローズアップされた。

 そしてまた、大きな評価を得たのが同じくニベアのリッチケア&カラー リップ。文字通り、色つきのリップクリームである。これも昨今の、リップものもトリートメント重視、かつ色のつかない口紅こそ評価が高いという流れもあって、次々に新色が出るこのニベアのリップカラーに人気が集中した。ニベアの中では高級品ながら700円台。正直言って一般の口紅からこれに買い換える人も多数。全然これでいいじゃんというわけだ。

 リップでは、スキンピールという角質育成のロングセラーを持つタカミが、唇の角質を日々つくっていく新発想のリップケアを発表。外出先では多くの人が1日10回位リップケアを塗る事実に着目。肌とは違う、唇の代謝サイクルに合わせて唇の正常な角質をどんどんつくる。一見本当に地味、でもすごい製品が生まれた。

 地味だってすごいものはたくさんある。それを正当に評価するようになった今の時代って、結構いいかもしれない。

齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2018.01.22(月)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史

CREA 2018年2・3月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

楽しいひとり温泉。

CREA 2018年2・3月合併号

ひとりに優しい宿こそ、いい宿でした
楽しいひとり温泉。

定価780円

2017年2月号で大好評だった「ひとり温泉」特集が戻ってきました。あるスタッフはこの1年、ほかの旅取材をしていても「この近くに、ひとり温泉にいい宿はないだろうか?」とアンテナを張り巡らせていたそう。そんな日々の努力が実って、今年も、ほぼ新規の宿ばかり100軒以上ピックアップ。今年も保存版ができてしまった予感。