贈り物といえば、花束である。昔はいまいちよさが分からず、もらったとしてもお世話しなきゃいけないのが面倒だなあと思っていた。結婚式に出席したとき帰りにもらえる装花も、正直、重いからなるべくもらいたくないなと思っていた。美意識に欠けたわたしだったが、ピーマンが食べられるようになったみたいに、ウイスキーが飲めるようになったみたいに、ある日、花っていいかもと思えるようになった。お花のフレッシュで媚びない美しさはかっこいい。自分のためにも買うようにもなった。部屋に飾ると、空気がきれいになるような気がする。いいと思えたら、花瓶の水替えだってだいぶ面倒がらずできるようになった。うれしい。

 問題は「お花屋さん」である。なぜかわたしはお花屋さんによくショックを受けている。魚屋さんや肉屋さんなどだったら気にならないようなことに、非常に敏感になっているようなのである。

 義理のおばあちゃんの喜寿のお祝いに花束を贈ることにした。地元の駅近くのチェーン店系のお花屋さんに行った。おばあちゃんは白が好きだし、絶対にもらったものを一旦仏壇に飾るので、派手なのはやめようと白一色で花束をお願いしたかった。それを伝えたところ、店員のおばさんは鼻で笑って「ふんっ。誕生日に白い花? あんまりやりませんよ」と呆れた顔で言ってきた。え、ダメなの? なんでダメなの? ちょっと変かもしれないけど、好きなものをあげてもいいでしょ。もしお肉屋さんで、今日はハンバーグだけど鶏肉くださいと言ったって、この人ダイエットしたいのかなくらいで、別にそんな顔しないじゃないか。理解をしてもらえないことに、わたしは絶望的な気持ちになった。なぜ分かち合えないの……。

 別のとき、今日は失敗するもんかと(前回のを根に持っていたので)、こぢんまりとした個人経営風のお花屋さんに入った。「3000円で白と緑の花束できますか」と聞くと、店員のお兄さんはうんともすんとも言わずに作りはじめ、こんな感じでいいですかとも聞いてこない。とどめに、完成した花束のど真ん中にショップカードをくっつけた。花よりカードが目立ってる。こんなはずではなかった。なんで素朴な顔して下世話なことするの……。わたしはまたショックを受けた。お花屋さんに行ったとき、わたしの心はポキポキと折れやすい。


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