江戸時代から続く
老舗香木専門店を訪ねる

京都御所のほど近くにある「山田松香木店」は、明和年間に創業。

 「星のや京都」の聞香のプログラムなどからお香の世界に魅せられて、日本古来の香り“お香”についてもっと知りたくなった。「星のや京都」のために香木の提供やオリジナルの香りづくりを行っている香木専門店「山田松香木店」を訪れた。

薬箪笥を使ったディスプレイは、店の前身が漢方薬店だったところから。沈香も漢方薬の一つとして扱っていた。

 お香は、仏教の伝来と共に日本に入り、平安時代から趣味と教養として広がり、室町時代に「香道」として花開いた。そこで使われる香木とは、樹木の中で樹脂が長い時間をかけて熟成したもの。

 中でも最上品である伽羅は、べトナムの一部の山脈にしかない特殊な沈丁花の木からしか採れず、現存するものが少ないことからたいへんに貴重で価値が高い。こちらの店では、長い年月をかけてできあがる伽羅のために、この特別な沈丁花の木をべトナムに植林する活動もしているという。

左:貴重な香木の数々。左が伽羅。
右:店の奥には、お茶とお菓子をいただきながら、椅子席で香木に関する話を聞いたり、聞香を体験したりできるサロンがある。

 店内には、驚くほどたくさんのお香を使った商品が並び、店の奥には気軽に椅子に座ってお香体験のできるサロンもある。「聞香」は、何か難しい趣味のように思っていたが、お香や匂袋(においぶくろ)、塗香(ずこう)など、生活の中に身近にとりいれる方法は様々。自分の好みの香りを見つけるのに夢中になった。

かわいい匂袋の数々や小さな印香、手のひらにつける塗香、手紙に添える文香など驚くほど多くのお香の商品が並ぶ。

山田松香木店
所在地 京都市上京区勘解由小路町164
電話番号 075-441-1123
http://www.yamadamatsu.co.jp/

 「星のや京都」の“花街サロン”や“聞香BAR”などで、京文化に浸った旅。旅を終えた後も、暮らしに少し雅な華を添えてくれたように思う。

星のや京都
所在地 京都市西京区嵐山元録山町11-2
電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
http://hoshinoya.com/kyoto/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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日本のさまざまな地方の隠れた魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。全国に展開されているその各施設を訪れ、その地ならではの遊び方、旅の仕方を再発見していきます。グルメ、自然、伝統工芸……、思いっきり日本を遊ぼう!

2017.12.31(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=橋本 篤