自分がブレンドした香りに
包まれて眠るという至福

左:客室にはオリジナルの香り袋が。
右:ライブラリーラウンジには枕香を作るセットが用意されている。

 19時から23時までは、ライブラリーラウンジで自由に枕香作りが楽しめる。吉草根、菊花、そして「山田松香木店」が「星のや京都」のために作った睡眠の匂香というオリジナルの3種の香原料をブレンドして好みの香りを作り、小さな袋に入れて枕香にする。自分だけの香りに包まれて眠るなんて、なんと優雅で贅沢。

枕香がほのかに香る寝室。モダンな柄の京唐紙の壁紙がお洒落。

 翌朝、こちらも2018年1月8日(月・祝)から2月28日(水)までの冬季限定という1日4食のみの朝食“九条ネギと鴨肉の白味噌鍋”を客室でいただく。

 窓からの冬景色を眺めながら、九条ネギの滋味と鴨肉の味わいが白味噌でまとまり、身体の芯から温まる。それに、「森嘉」の豆乳から作った出来立ての豆腐の餡かけや、汲み上げ湯葉と揚げ湯葉入りのサラダなども。

部屋で、鴨肉のつみれを鍋に入れてくれる。

 鴨の軟骨入りつみれを目の前で、鍋に入れてくれる。一見、こちらが主のように思えるが、この鍋の主役は、九条ネギ。京都の石割農園に、この鍋用にネギを依頼。野菜によって養分を調整して土壌を作り、味わいや長さまでも調節して栽培できるのだという。

主役は、意外にもこの九条ネギ。

 身体も温まったところで、「和室パブリック」で行われる聞香に参加する。年間を通して行われているこのプログラムが開催されるのは、10時30分から11時10分の間。参加人数は1日4名まで、料金は1人2,800円(税・サ別/要予約)。

年間を通して楽しめる聞香のプログラム。伽羅がいい香り。

 香炉に炭を入れて、灰山をきれいに作って小さな穴を開けると、そこから熱がのぼる。銀葉と呼ばれる雲母の板の上にそっと香木をのせて、立ち上る香りを聞く。専門の用具でお作法に則って楽しむ聞香は、心を鎮めながらの雅な遊びだ。

2017.12.31(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=橋本 篤